21話 ページ22
トン氏と話した後、生徒会室での作業も終わったが、結局その日、Aは生徒会室には戻って来なかった。
軽く校舎歩き回っても見つからなかったから、きっと帰ってしまったのだろう。
だから、翌日の今日、仲直りするため、必ずAと話すことを決めた。
やけに長く感じた1日がやっと終わり、放課後になった。
すぐに帰ってしまうであろうAを探すためにいつも以上に急いで教室を飛び出した。
Aのクラスを覗いたが、彼女の姿は見当たらない。
もう校舎の外に出てしまったのか、まだ学校のどこかにいるのか。
教室を離れ廊下を進んでいると、トン氏とゾムの背中を見つけた。
たしかゾムが同じクラスだったはずだ。ゾムに聞いたら分かるかもしれない。
「ゾム！」
「ん？おー、グルッペン。めっちゃ焦ってるけどどうしたん？！」
「いやその、Aがどこにおるか知らないか？」
思わず勢いで聞いてしまったが、よく考えればケンカしたことを知っているのはトン氏だけだった。
不思議そうな表情のゾムが隣にいるトン氏を見る。
トン氏は言ってやれとでも言うように顎を俺に向かってクイッと動かした。
「多分もう下校したんちゃうかな。1、2分前に玄関で見たで」
「…そうか。ありがとう」
「おー」
やはりもう出ていたか。…追いかけるべき、なのだろうか。
でも、そこまで…。
Aは、会いたくないと思っているかもしれんし。
悩む俺を見たトン氏が俺に語りかけてくる。
「…グルさん急いだ方がええんとちゃうか？早くせんと見失ってしまうで」
「…ああ」
その言葉で決心した。
今ならまだ間に合うかもしれない。
俺は急いで玄関に向かい外へ飛び出した。
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作者名：煽田 -アオタ- | 作成日時：2022年6月19日 21時
