13話 ページ14
「……お前今までどうやってその成績キープしてきたんだよ」
『ウッ、無理やり暗記して…、とか？』
「はぁ…。お前がそこまでだとは正直驚きだ」
『え〜。だって分かんないんだもん〜…』
あのあとどうするか話し合い、放課後に生徒会室をこっそり借りて勉強することになった。
それにしてもAの英語のできなさには驚かされた。
俺の隣で机に項垂れているAがボソボソと喋る。
『今までギリなんとかなってたけど、今回は全然分かんなくて』
「…まぁいい。小テスト、いつだ」
『1週間後です』
定期考査ではないし、小テストくらいなら範囲は大したことないだろうから、なんとかなるだろう。
「1週間か。やるだけやるからついてこいよ」
『…わかりましたー』
「あと、俺だと分からないところを素直に質問できるんだよな？」
『うん』
「じゃあ絶対分かったふりするなよ？いいな？」
『はい…了解です…』
苦虫を噛み潰したよう顔。
やっぱりどこか犬っぽい。
「じゃあ例題見ながらこの問題解いてみろ」
『わかった』
『…ん？どうやるの？』
キョトンと俺を見るA。
「は？バカかお前」
あまりにも重症すぎる。思わず冷たく発言すると、Aは目を見開いて、そして目に涙をためた。
『うぅ〜ごめんなさいぃ！！』
「あぁ…、泣きそうになるな。少し言葉がキツかった。ゆっくり教えるから許せ」
過大評価はよくないよな。
こいつならできるという勝手な思い込みが彼女を苦しめるかもしれないのに。
さすがに言いすぎた。
女子が泣きそうになったら頭を撫でろ、とどっかの鬱が言っていたため、あいつの言う事を聞くのは少し不服だが、Aの頭を撫でてやる。
『……うん』
「じゃあ、続けてもいいか？」
『うん』
今度は優しく教えよう。
せっかく俺を頼ってくれたんだ。利用しろと宣言したからには、自分の役割を全うしよう。
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作者名：煽田 -アオタ- | 作成日時：2022年6月19日 21時
