序章 ページ1
清々しくらいの虚空に少女の声が大きく反響する。
「いらっしゃいませー!ただいま、メイド喫茶全品半額でーす!」
少女よりも一回り大きいと言える、大きな木の看板を掲げ、声を張る。
黒いミニスカートに白と黒のカチューシャ。スカートの上には白いエプロンが掛けられている。首元には黒色のチョーカーがついており、主に男性が癒されに行く店であった。
忙しく足を動かし、行き交う男性たちは彼女を一瞥している。一瞥はおろか、じろじろと目線を這わせ、性的感情を孕ませた目線で釘付けになる男性たちもいた。
「いらっしゃいませー!」
細い足に、細い腰。人よりか少し膨らんでいる胸。ぱっちりとした二重の瞳にふっくらとした口唇。高い鼻筋に、誰がどう見ても、全員美女と答える姿容であった。
それこそ、才色兼備という四字熟語を擬人化したようなものだった。
「ありがとうございまーす!」
にこりと笑みを浮かべるその姿は可憐な物で、どうも愛くるしく守ってやりたくなる衝動が駆られる。
「あぁ、もう。最悪だ。君と会うなんて。せっかくの休日くらい蛞蝓クンとは会いたくなかったよ」
「それは俺のセリフだバカボンド。俺だってなんで手前と会わなくちゃいけねぇんだよ。青鯖は青鯖らしく川で泳いでたらどうだ」
「ほんっと君は嫌味なやつだねぇ」
「はぁ?ふざけんな」
彼女の前から背丈が対照的に見える二人の男性組は互いに睨み合い、微妙な距離を保ちながら子競り合いを繰り返す。
周りの者は誰がどう見ても犬猿の仲だと答えそうなのだが、彼女には中が良い兄弟のように映る。
彼女はまるで天使のように純真なのだ。時には、言ってはいけない、地雷という物がある。
「そこの中の良い兄弟さん!」
「あぁっ!?」
「へぁっ!?」
彼女の声に男性二人は同時に声を発し、同時に振り向いた。
しかし、発している言葉は大分違い、小柄な男性はヤンキーのような声で、砂色のコートの男性は一般的な驚いた声だ。
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藍の華 - わああああ!かみ、神作ダアああああ!←すみません。タメ&大暴れ申し訳ないです。でもそれほどお(殴 ヘブシッ!! こ、更新頑張ってください!応援してます! (2021年2月12日 2時) (レス) id: a501129fb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月9日 20時