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2017年7月＿＿＿＿＿
高層ビルの最上階。
女の甘ったるい声が漏れ聞こえる
『ﾝｯ……マイキー……
マイキーｯｯｯ』
甘い口付けと胸に広がるタバコの香り。
たった一夜の愛の証
＿＿＿ﾌﾞｰﾌﾞｰ
突然鳴り出すスマホに手を伸ばそうとする
＿ﾊﾞｼｯ
｢よそ見する余裕あんのか〜？｣
『……離して。稀咲からの電話。
出ないと面倒なのあんたが1番知ってるでしょ』
愛の巣は一瞬にして現実に引き戻される。
どんなに愛を囁いたって全てはまぼろし
『行ってくる』
｢あ？どこにだよ｣
『……千堂のキャバクラ。花垣武道が来るって』
｢へ〜。
で、天使ﾁｬﾝはぐしょぐしょなのに行けるわけ？｣
『…………あんたには関係ない』
＿＿＿ﾊﾞﾀﾝ
閉ざされたその扉
取り残された現実に、ただ1人髪をかきあげる
｢……関係ない、ねぇ……。
ばはぁ♡相変わらずだなぁ、Aも｣
夜の街、死神の手を振りほどき堕天使は今日も外へ出る
｢遅かったじゃねぇか｣
『わざわざあたしを連れ回す意味は何』
｢駒が一々喚くな。
千堂が花垣武道をやり損なったのは聞いたろ｣
『…橘直人が助けたとは』
｢そいつら2人でこっちに来てる。マイキーに会わせろって。
ずっと連絡起こさなかったのに妙だろ｣
マイキー。もう十何年も会えていない。
同じ場所で時間を共にしてたって決して戻れないこの関係にAは息をするのさえ苦しかった
いつ間違えた？
いつ戻れた？
＿＿＿＿＿いつから汚れてしまったのだろう
｢ちょっとオトナの勉強教えてやるだけじゃねぇか｣
空を飛ぶための自由な翼は鉛のように重く
Aを地上に縛り付ける。
｢ぼーっとしてる場合じゃねぇぞ。来い｣
＿ｶﾂｶﾂｶﾂ
非常階段を登れば賑やかな声。そして、あの眩しい笑顔。
忌々しい程に憎く
千堂｢なぁ、覚えてるか？中2の夏おまえがキヨマサくんに逆らった日。みんな帰ったあと、お前が俺にこういったんだ｣
＿＿＿｢みんなバラバラになって、大人になって出会ったらどんな話するのかな｣
花垣｢ああ！覚えてるよ｣
千堂｢こんな話はどうかな
オマエを線路に突き落としたのは俺だ。｣
キラキラした思い出は一気に地獄へ堕ちてゆく。
＿＿＿『マイキー……違うの』
｢違うってなに？お前が兄貴のバイクショップにいた理由くらい話せよ｣
『……ちがう……違うの……』
｢もう二度と顔見せんな｣
地に堕とされた堕天使のように、深く深く堕ちてゆく
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作者名：SEI | 作成日時：2024年3月28日 23時
