貴方に最期の花束を【コンプレス】 ページ9
⚠︎夢主の希死念慮
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『ミスターの個性ってさ落としたら割れる？』
2人きりの部屋の中、彼女はポツリと呟いた。
｢ん？いや、軽い衝撃くらいじゃ傷は入らねぇけど｣
『ふーん』
彼女は時々不思議な質問をする。
それは大抵好奇心からなるものだった。
あれはなに、これはどうして？
次々浮かぶ質問を面倒だと押し返す人がほとんどだが、
コンプレスだけはじっと彼女の話を聞いて答えをくれる。
『あ、じゃあすっごい高いとこから落としたら？』
｢んー、試したことねぇから何ともいえねぇけど。
なに、どうかした？｣
『うーん』
彼女は物憂げに微笑む。
『まぁじゃあ弔君の方がいいかなぁ』
その言葉にぴくりと彼の眉が動く。
「は？なんで死柄木？」
想像以上に低い声が彼の中から発される。
ただ2人きりの穏やかな時間を踏み荒らされたようなそんな気分がしたのだ。
Aが好んで頼るのは彼だったはずなのに。
けれど、Aはそんなコンプレスの想いに
気づくはずもなく＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
『だって弔君の個性なら綺麗に死ねそうじゃん』
彼女はいつも自分の終わり方を探してる。
なるべく綺麗にそして絶対痛くないものを。
｢……そうか？皮膚が崩れて痛いかもよ？｣
『えぇ、じゃあやだなぁ』
彼女と過ごす時間がもっとあるのならどれだけいいか。
けれどそれを願うのはきっと彼女を縛り付けることだから。
正しさを他人に押し付けられるほど彼は優れた人間じゃないから。だから＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
｢もし本気でAちゃんが死にてぇならさ、
俺が圧縮してやるよ｣
そんな台詞を彼女に伝えるしかできなかった。
｢そんときはその姿のまま閉じ込めておくからさ。
それなら安心だろ？｣
綺麗なまま痛みもない永遠の別れ。
それを告げさせてやるのは、せめて俺の手で。
『じゃあ死ぬまでミスターと一緒だ』
｢だな｣
『ミスター、その時はお願いね』
｢はいよ｣
ふわりと笑った彼女の顔はいつまでも美しかった
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作者名：SEI | 作成日時：2023年8月27日 1時
