�� ページ13
【ヒーローの憧れのヒーロー】
よくある雑誌のインタビュー。
彼女はその問いに「ラウドクラウド」と答えた。
そんな記事を読んでため息を1つ。
また彼女は苦しい夢の中に閉じこもる。
「……なぁ、お前ら何かあったわけ？」
秋になった頃、分かりやすい程の2人の変化に気づかないようなマイクじゃない。白雲とA、相澤とマイク
4人で過ごした時間は嘘じゃない
「別に」
「アイツの顔、沈んでるじゃん？」
「俺にはどうにもできんよ。」
「それ本気か？」
「……」
「なぁ相澤。
本気なら、俺の目を見てからもう一度言えよ」
何もいえなかった。
最近の彼女は見るに堪えない程やせ細っていて、
無理をしているようにしかみえない。
彼女の中でヒーローは喪失したまま。
暗い闇の底で足掻いてもがいて。それはまるで、
卒業後独り戦っていた自分の姿とまるで同じ。
「……A、お前大丈夫か？」
『ん？大丈夫大丈夫』
彼女はへらりと笑っていたが、
目の下の隈が彼女の現状をくっきり映す。
「飯食ってないだろ」
『食べてるから平気』
「ゼリーはノーカンだろ」
「それはショータくんもじゃん」
「俺はいいんだよ。」
相澤は、彼女と目を合わせてその頭にぼすんと手をおく。
「……別に何も否定はしてないよ。
ただ無理をするなって話だ。」
ゆっくり撫でる大きくゴツゴツした手のひら。
温かくて心地よくて。頼りたくなってしまう。
縋りたくなってしまう
『…ごめん、ショータくん。これで最後にするから』
「それは……」
それはきっと酷く簡単に甘い夢がみれる。
でも解決にはならない。それを痛いほど分かっている。
前を向くならば、彼女はきっと俺を頼るべきじゃない
「目そむけたって解決にはならないだろ」
【私も貴方が目を逸らしているんじゃないかと思うわ。
大事なことから】
それはかつて相澤が教師になる前に
ミッドナイトからいわれた言葉。
白雲の事に向き合えずに居た当時の自分に向けられた言葉
『……分かってるよ。それくらい』
酷く微かな声だったと思う。
それほどまでにか細い声がポツリと返ってきた
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作者名：SEI | 作成日時：2023年8月27日 1時
