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「荻原Aさんですか?」
もう9月だというのに相変わらず暑い日差しの下で Aはひとをまっていた
『はい。あなたがえっと……』
「はじめまして、七海です。あの人のことです、誰が来るとかそういった事は伝わっていなかったでしょう」
『……まぁ。』
七海「想定内なので問題はありません。
私も時間外労働はあまり好みませんから急ぎますよ」
『……すみません』
車に乗り、高専からAの住んでた町へ戻る
忌々しくて忘れたいのに
名前が過去が身分が、Aからそれを切り離せない。
_______________五条の言う通りだ
そんな物思いにふけるAを横目に見て
七海はそう思った
五条「七海、明日空いてるよね。」
七海「空いてません」
五条「あれあれ〜おかしいな〜
伊地知に裏取りしてるから間違ってないはずなんだけどな〜」
七海「……あなたの要件を聞きいれる時間はありません」
五条「先輩の頼みなんだからちょっと聞いてって」
七海「……なんですか」
五条「僕の生徒の里帰りに付き合って欲しい」
なんだ、それだけか。
七海はため息をついて去ろうとした
五条「待って待って待って
人の話を最後まで聞いてって」
七海「大体あなたの話をまともに聞いてろくな事があったことないでしょう」
五条「萩原A、彼女のことを見てやって欲しい」
_______________萩原A
七海なら よく知っている名前だ
ひとつ上の先輩、夏油傑が良くしていた子で
あの日、彼の故郷で親の死体と共に保護された少女___
五条「生憎明日は僕も伊地知も任務で離れる
あの子の唯一の外出だ。
信頼できる人に託したい」
七海「外出って……墓参りでしょう」
五条「……これくらいしか僕がAにしてやれる事がないんだよ。わがままさえ言わないAに、もっと色んなことを知って欲しい。
Aだって高校生だ。かつての僕たちみたいに好きに遊ぶ権利が奪われていいはずがない。違う?」
七海「……」
窓の外をじっと見つめるAは
きっと何も見てはいない。
高専と任務を結ぶ道
窓の外からの景色しか知らない彼女に
何をしてやれるのだろうか
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作者名:SEI | 作成日時:2023年2月5日 12時