とある少女とチョコラート

読み聞かせ ページ11

メローネさんが読み聞かせてくれたのは、どこか桃太郎やかぐや姫…瓜子姫を思い浮かべるような話だった。

割ったオレンジの中に望みの娘がいて、その娘に魔女が化けて…だなんて。

てっきりえげつない話を持ってくると思っていたので、少し驚きはしたが、とても楽しかった。

さすがは『ベイビィ』を育てているだけはある…話し方がとても上手いし、分かりやすい。


「面白かったかい？」


「うん、とっても。ねぇ、また読み聞かせしてよ」


「構わないよ。その代わり…Aの国の童話も、教えて欲しいな。覚えている限りでいいから」


「そんなことで良ければ、喜んで」


もちろんいいよ、と言えば、メローネさんはとても嬉しそうに笑った。


「じゃあ、早速教えてくれないか？ここ以外の部屋が良ければ、移動しよう」


「ん…でも、先生との約束が…」


「少しくらい問題ないだろう？それに…」


「ニカイドウ」


メローネさんが私の肩に手を回してきた所で、凛とした声が図書館に響いた。

振り返るとそこには、不機嫌そうに腕を組んだ先生が、壁にもたれてたっている。


「あ、先生。お薬の時間ですか？」


「……あぁ、そうだ。先に部屋へ行っていなさい」


「分かりました。じゃあ、またねメローネさん。今度あったら、ジャポネーゼの童話、教えてあげる」


「あぁ、また今度」


ひらひらと手を振って、図書館を後にする。

……それにしても先生、機嫌が悪そうだったなぁ。どこか痛かったのかな？



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今回の話に出てきた童話、『三つのオレンジ』に関するリンクです。
興味のある方は御一読ください。
https://gamp.ameblo.jp/byokiwa-genkino-ekisu/entry-11937345186.html

こちらは『瓜子姫と天邪鬼』というお話に関するものです。
興味のある方は御一読ください。
https://dic.pixiv.net/a/%E7%93%9C%E5%AD%90%E5%A7%AB

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