友人帳と半妖と死神と (ページ24)

今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:10,650 hit

22話 [くじら] ページ24

夏目

起きたら真っ暗闇に佇んでいた
ここはどこだ？
ニャンコ先生！！田沼！！塔子さん！！
亜季！！

「…」

だれからも返事がない

立ち尽くすのも足が痺れるから
とにかく前へ歩き出す

しばらく歩いてみるも周りは一切
変化なし

「本当にここはどこなんだ…」

「確か俺…妖狐と彼岸と会って…彼岸…？」

？「僕を呼んだ？」

「っ！？彼岸…！」

声がした背後を見るとすぐ後ろに彼岸が
立っていた

彼「綺麗だよね、この花」

彼岸はしゃがんで足元に咲く花を見る
いつの間にか風景はヒガンバナが咲き誇る
曇り空の丘の上だった

彼「ﾆﾝｹﾞﾝｻﾝ、この花…なに？」

「ぇ？あ、あぁ、この花は
゛ヒガンバナ゛って言うんだ」

彼「ヒガンバナ…かぁ」

彼岸はヒガンバナを1輪摘んで立ち上がる

彼「僕……おれがいつもここに来ると
一緒に来ていたﾆﾝｹﾞﾝｻﾝは川を渡る」

「川？川ってなんの…」

彼「そして居なくなる。また独りぼっち」

「…？」

彼「まだ兄さんがここに来るには
早すぎるんだ」

「亜季のことか？」

彼「……ﾆﾝｹﾞﾝｻﾝ、まだ寝ててね」

急に視界が揺らぎ始めた
偏頭痛が痛む
頑張って目線を上げると悪戯が成功した
子供のように微笑む彼岸が立っている

そこで俺は意識をまた失った

彼「まだ…いやだから」

Fromゆめのなか