すれ違っただけなのに

ピアス ページ34

「…君の耳たぶは随分柔らかいんだね」

『私には夏油さんの方が柔らかく見えますけど』

「ふふ、触ってみるかい？」

『じゃあ遠慮なく』

え？福耳触れる機会なんて滅多にないじゃん？
……やっぱり夏油さんの方が柔らかいやないかい

ってか随分謎な構図だよな

夏油さんは私の右耳を保冷剤で挟んで左耳触ってて私はその夏油さんの右耳揉んでる
いや、これは触ると言うよりか揉むって単語の方があってる…気がする

そんなこと考えてる間に夏油さん私の耳消毒して、もう穴あけるとこ印つけてるからね

なんと手際のいい…

あ、私は反対側冷やしてます()

「よし、じゃあ一応冷やしたけど痛いかもしれないから…私の服掴んでて」

『ちゃんと合図くださいよ』

「もちろん。…カウントダウンは3秒でいいかな」

『はい』

「じゃあ3.」

『ｯ〜〜』

この人カウントダウンするって言った癖になんの合図もなしにピアッサーで耳貫通させやがった

冷えててこれくらい痛いってことはこの冷たさがなくなったらもっと痛いのか…


『1分間夏油さんと絶交します』

「おやおや、少し意地悪をしすぎたかな？…でも反対側も一緒にあけてしまわないとアフターケアが…」

『反対側開けてもらって絶交します』

「ありがとう」









『うわぁ2度目もすると思わなかった…』

「だって無理に力むより痛みは少ないからね」

現在耳洗ってます
洗ってるって言うか耳にの載せてる感じ

夏油さん曰く
バイ菌入るといけないからね

だそうだ


なんだよバイ菌って言い方可愛いな
でも許さねぇぞ、痛かったんだからな


こっちはギリ涙留めてるのにニコニコしやがって…


……………………………………

彼女を私の家に呼んだ

Aが少しぼーっとしている時を狙って了承を得た

案の定さっきつまづいた時のことでも考えていたのか私の家へ向かう途中どこへ行くのかを聞いてきた


少し緊張しているのかキョロキョロと私の家の中を見ている様子がとてもいい

このままここにいてくれればいいのに


それにしても彼女の耳は随分と柔らかい
昔誰かが耳たぶが柔らかいのは健康の証拠なんて言ってた気がする

こんな綺麗な肌に私が穴を開ける
自分で傷つけられる…

私に合図を無視され拗ねて背中向けている姿でさえ可愛らしい


このピアス穴がある限り彼女は私のことを思いだすだろう？

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