すれ違っただけなのに

夏油傑 ページ26

※画像と話は関係ありません
猿って言われたかっただけです
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…遅い
いや。約束の時間からまだ五分もたってないけれど…

何かあったのだろうか…
待つのは嫌いじゃない。きっと私は2時間くらい余裕で待てる
けれど…どうしてこんなにも気が気ではないんだろうか








『あ、すみません少し遅れました』

やっと彼女がやってきた。と言っても約束の時間から10分も遅れてないけれど
それに…今日彼女は走れるような靴ではない


「大丈夫だよ、電車の時間もあるだろうし…履きなれない靴は歩きにくいだろうしね」

『よく分かりましたね、靴の変化なんて』

「そんな大きな変化に気づかない方が馬鹿だよ。」


それにしても今日は雰囲気が違いすぎる
普段は動きやすそうな格好なんだけど…今日は落ち着きのある女性のようだ



「その格好は私のために…してきてくれたのかな？」

『誕生日に貰ったもの身につけたかっただけですよ』

おや、私のためにってことではなかったんだね
少し残念だなぁ…


「少しだけ期待をしてしまったよ。あぁそうだ。これ私からの誕生日プレゼントだよ。」


私からのプレゼントはピアス
彼女の耳には穴は空いていない。
それでも買ったピアス…洋服とかに疎そうだからきっと意味なんて知らないだろうけど


『え、ありがとうございます！…でも……これ』

「あぁ…すまない。……もしAさんが良ければ私に穴を開けしてはくれないか？」

『…それめっちゃ痛いヤツじゃないですか…ってか私の耳に穴空いてないこと知ってましたよね？』

「……おや。なんのことかな？」

『なんですかその間は』


そう頬を少し膨らませながら隣を歩く私より随分と背の低いA


今まで聞いてきた話によるとどうやら呪術師が彼女の近くにいるらしい

…どこか気に食わない


『あ、そういえば今日しっかり母に許可とってきたのでゆっくり時間ありますよ』

「そうなのかい？どこか行きたいところとか…やりたいことはあるかな？私も今日は何も無いからどこにでも連れて行ってあげよう」

『どこにでもって結構時間とか限られてますから…でもそうですね行きたいところ…』


そう頭を悩ませ考える姿も可愛らしい

こんなにも1人の人間に好意を向けることになるとは…
少し前の自分では考えられないな

作者から※必読→←ブーツと時計

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