ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ6)

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洗濯物は畳んだ。

食器も洗った。

昨日の夜飲んだビールの空き缶はちゃんと捨てた。

家を出る時、玄関に立って振り返ったら、

部屋がキレイだった。

それだけで、前を向ける気がして。

会社の最寄駅に降りると、改札口で深澤が見えた。

「深澤、おはよ！」

小走りで追いついて声をかける。

「お、おぉ、おはよ」

「同じ電車だったのかな？沿線同じ？」

「あぁ、そうかもな。まだ俺んちは段ボールだらけだけど笑」

「そっか。急だったもんね」

「なんか本社久しぶりだからさ、ちょっと緊張してたけどAに会えてよかったわ。緊張ほぐれてきた笑」

私の隣で深澤が笑ってる。

仲が良かった頃のように話せてる。

嬉しい。

「。。。おかえり、深澤」

「ん。。。ただいま笑」

笑い合ったら、

止まっていた時間が動き出す。

「A、LINE変わってない？」

「変わってないよ」

「そっか、じゃ、大丈夫だな笑」

どうしよう、わたし、

この人のこと、

一生好きかも。

なんて、思っちゃったりして。

抜け出せない沼にずぶずぶとはまり込んでいくのを感じた。