ーーーーー ページ4
今、目の前にいるのは、
わたしの手を触ったのは、
3年ぶりに会う深澤。
少し痩せたかな。
でも、精悍になった気もする。
とにかくとにかく、
カッコいい。。
「あ、俺東京勤務になったんだよ。週明けからよろしくな」
「あぁ。。そうなんだってね。。。よろしく」
なぜ自分がこんなに緊張しているのか、
なぜこんなに深澤を直視できないのか、
なぜこんなに自分の顔が赤くなっているのか。。。
一瞬にしていろんな思いが頭を駆け巡って、
まだ仲良く飲んでいた頃のことをフラッシュバックのように思い出した。
そして、一瞬にして悟った。
そうか、わたしは深澤のことが、
「辰哉ー！もう、危ないよ！」
言いながらひとりの女性がわたしの視界に入ってくる。
「あーごめんごめん。絡まれてる子、知り合いだったんだよ。この人、俺の同期のA」
「え！会社の？すごい偶然！」
女性は目を丸くする。
必死に事態を把握しようとしているわたしに、
「あぁ、A、これ俺の彼女。。」
小柄な女性がぺこりと頭を下げる。
かのじょ。。。
「あ。。。あぁ。。デート邪魔してごめんね。。深澤、じゃ、また会社で」
「そうだな。じゃ月曜に会社で」
ふたりに背を向けて歩き出す。
心臓がドキドキする。
惨めだ。
この上なく惨めな思いに苛まれる。
好き、と
気づいた瞬間に振られるって、
前代未聞じゃないか？
あまりに呆気なくて、
涙もでない。
涙どころか、
あまりの自分のバカさ加減に
笑えてくる。
3年かかって
やっと気づいた時には、
もう遅かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 687人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろ
| 作成日時：2022年10月7日 22時
