ーーーーー ページ25
二人の思い出が増えていって、半年経った頃。
その日、久しぶりに彼の家に誘われて嬉しかった。
「ねぇ。。最近、抱いてくれないよね。。キスもしてない。。」
キスしようと辰哉の顔を覗き込むと、
「。。。ねー絵里奈、聞いて？」
普段はふざけてばっかりいるのに、急に改まったその表情に，嫌な予感がした。
「。。。やだ聞かない」
「東京に戻ることが決まった」
「うそ！まだ先だって言ってたじゃん！」
「うん。。なんか急遽らしい。来月から本社だって」
「来月って。。1ヶ月もないじゃん。。」
「それでね、ごめん、絵里奈。。。別れて欲しい」
「。。。。なんで？」
「東京戻ったらさ、彼女に会ったら。。俺たぶん。。やっぱり好きだなぁって、思っちゃうと思うんだ。それわかってて、絵里奈と付き合ってはいられない」
「。。。やだ。。だってそんなのわかんないじゃん，だってその人、辰哉のこと好きじゃないんでしょ？もう彼氏いるかもしれないし、それだったら、」
「そうだね。でも、それでも俺、彼女に惹かれちゃうと思う。わかるんだよね」
「。。。やだ、辰哉、わたしはいや。。！」
家探しも、引っ越しも、強引についていった。
でも、東京での仕事が始まると、真剣に別れ話をされた。
「。。。どうしても別れなきゃダメなの？。。なんかいい方法ないのかな」
「。。ないよ」
「結局。。。わたしお試し彼女で終わっちゃったってこと？」
「絵里奈のこと、お試しなんて思ってなかったよ。ちゃんと、俺の彼女だったよ」
「。。。っ。。たつやぁ。。。。」
カフェで人目も憚らず泣き出したわたしに、さすがに辰哉は困ってたけど、思えば、わたしは彼に好かれるために、彼を困らせたことなんてなかったから、もう最後くらいどうにでもなれ、って気分だった。
でも、どう考えても、辰哉の存在がない生活が考えられなかった。
どうしたら彼の隣にいられるのか。
その時、辰哉のスマホを盗み見てわかっていたAさん。。。
彼女が辰哉を諦めさせれば。。。
そんな想いが頭をよぎってすぐ、わたしは東京行きの準備を始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 687人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろ
| 作成日時：2022年10月7日 22時
