ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ21)

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「急にお呼びだてしてすいません。わたし、浅木絵里奈と申します。一度街中でお会いしたことがあるんですが。。」

「覚えてます。深澤くんの、」

「はい。。。あの、今日お仕事終わったあとふたりでお話しできませんでしょうか？お時間は、とらせませんので」

「今日ですか？」

深澤との約束が頭をよぎる。

「急ですいません。明日には名古屋に帰るもので。。」

「わかりました。。この建物の2軒隣のビルの2階に喫茶店があるんです。歩道にも看板が出てるのでわかりやすいと思います。そこで6時でどうですか？」

「わかりました。ではそちらで6時に。ありがとうございます」

彼女。。浅木さんの背中を見送って大きくため息をつく。

さて。

さてさてさて。

。。。。。。

ど、どういうこと！！？？

なんで深澤の彼女がわたしとふたりで？？

軽くパニックなんですが！！！

。。。考えられるとすれば、

バレている。。

わたしが深澤のことを好きなことが、バレてる。
それで、迷惑だとかなんとか言いたいとか。。

どこでバレたのかはわかんないけど、
たぶんそういうことか。

。。罵倒、されたりするのかな。。

でも、深澤にわたしから誘ってどっかに行くなんてこともないし、こっちから積極的なアクションを起こしたことは、ないと思う。

。。。て、なに言い訳ばっかり考えてるの。

とにかく、深澤に連絡だ。

〈ごめん、今日先約あるの忘れてた。また今度にして〉

謝りのスタンプを付けてLINEを送り、デスクに戻る。

当然、午後の仕事は手につかなかった。