�� ページ3
「ねぇ、これどう思う？」
割と派手な柄のネクタイを手に取って、結衣がこちらを窺うような顔をする。
「。。。派手じゃない？結衣の彼氏の好みわかんないけどさ。。てか、彼ネクタイするの？」
「してるとこ見たことない笑」
「なにそれ笑」
「だってプレゼント思いつかないんだもん」
結衣の彼の誕生日のプレゼントを買うのに付き合って欲しい、と夕飯を奢る約束につられ久しぶりに街に出た。
休みの日なんて近所の商店街くらいしか出歩かなくなっていたから。
「Aもさ、彼氏とか欲しくないの？」
「。。。別に。。。お節介焼こうと思ってるならやめてね」
「そんなつもりはないけどさ。そうやってずっとひとりでいて最後は孤独死すんの、寂しくない？」
「何十年後の話してんの！そこまで考えてないから！」
「いやぁ、Aならあり得そうと思って。。異性にときめく気持ち、どこに置いてきちゃったのよ」
「。。。。どこだろうねぇ」
夕方から待ち合わせ、買い物をしたあとふたりで夕飯を食べたから帰途に着く頃はだいぶ遅い時間になっていた。
結衣と別れて駅に向かう。
ついつい長話をしてしまった。。
それにしても、
誰かを好きだと思う気持ちなんて、
もう思い出せないのだろうか。
「おねーさーん、」
後ろからポン、と肩を叩かれ振り返ると、知らない男ふたり組。
「はい？」
「ひとりでしょ？俺らと一緒に飲まない？」
「いえ。。急いでるので、」
「いいじゃーん！俺ら暇でさぁ。付き合ってよ！」
無視して通り過ぎようとするとぐっと腕を掴まれる。
強い。
「やめてください！」
本能で声が出る。
歩いてる人だっているのに、周りは見て見ぬふりなわけ？
その時、
「あ、待ったー？？」
わたしの元に駆け寄る男性。
え？わたし約束なんてしてない。。
「遅くなってごめん」
言いながらわたしを見るその顔に、驚きすぎて言葉が出ない。
「ふ。。。。」
「彼女、俺と会う約束してたんだけど。離してくれる？」
その言葉に私の腕を投げ捨てるように離し、夜の街に消えていく男たち。
「ふかざわ。。。？」
「久しぶり笑 大丈夫だった？しかしヤバかったなーまじこえー笑」
「本当に深澤。。。？」
「生き霊かなんかとか？ほら、本体あるよ笑」
深澤は笑ってわたしの手を取り、自分の胸の辺りをポンポンと触らせる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 687人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろ
| 作成日時：2022年10月7日 22時
