ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ1)

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① ページ1

畳んでいない洗濯物。

洗ってない食器。

昨日の夜飲んだ酎ハイの空き缶。

全てをスルーして、会社に行く支度をする。

服は女性誌をマネしてるようで、

ほとんどファストファッションで済ましてる。

いつからこんなふうになったのか。

自分でもわからない。

よくわからないけど、

何年か前から、

自分の時が止まってしまってるような気がする。

どうしたら、動き出すのか、

。。。わかってたら、こうはなってない。

「ん？」

「だから！深澤、帰ってくるんだって」

ランチを食べる手が一瞬止まる。

「。。。。あ、あーー。。。」

「あんたたち、仲良かったじゃん」

そう言って、何の気なしにわたしを見る同僚の結衣。

「。。。そうだったかね。。。」

。。。帰ってくるんだ。。

「3年くらい前だっけ、名古屋に異動したの」

結衣は指折り数える。

そう、3年前だ。

もう、3年になるんだ。

昼休みから戻ってくると、周りは深澤が戻ってくる話題で持ちきりだった。

「何でこんな時期に？」
「隣りの部署の主任がなんかやらかしたらしいよ、それで急遽の配置転換」
「戻ったら飲み会だな笑」

人気者の彼らしく、社内は歓迎ムード。

たぶん、わたしだけが浮かない顔をしてるだろう。