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もー!やめて欲しい!
そう思いながらも、ニヤける自分がいる。
顔赤くないかな。。
首に巻いたマフラーに深々と顔を埋める。
早朝の電車に乗り込み、ひとつ隣の駅で降り、家に戻る。
昨日は、会社帰りに初めて深澤の家に寄った。
深澤がわたしの家に来ることはよくあったけど、彼の家に行くのは初めてで。
「俺の部屋、気に入るはずだよ?だってほとんどAの趣味じゃん笑」
確かに。。以前ふたりで買い物に行って、わたしが選んだものがたくさん彼の部屋にはあって。
なんだかとても居心地が良かった。
そのまま雰囲気に流されてお泊まりしちゃったけど。
シャワーを浴びて何事もなかったかのように出勤する。
付き合って2ヶ月になるけど、まだ会社の人には誰にも言っていない。
わたしたちは普通に仕事をしていればあまり接点はないし、何よりめちゃくちゃ恥ずかしいので、深澤にも何も言わないでと言ってある。
普通に仕事をしようとしてるけど、ふと、昨晩の熱を思い出して体が火照る。
ダメだ。
平日に泊まりにいったりしたら次の日仕事に集中できないことがよくわかった。もうやめよう。
パソコンの前で頭を抱えていると、通りかかった結衣が不思議そうな顔をする。
「A、何してんの?大丈夫?」
「あ。。大丈夫。。」
「そんな頭抱えて、髪型ぐっちゃぐちゃになってますけど?」
「。。。。」
「今日珍しいね、髪下ろしてるの」
「あー。。」
何とも言えずに髪をいじっていると、すっと目の前に差し出される見覚えのある髪留め。
「A、これ今朝俺んちに忘れていったっしょ」
いつの間にか側に立っていた深澤に涼しい顔で髪留めを手渡される。
ふ、ふかざわぁぁー!!
「はぁ?“俺んち”??」
わたしが言葉を発するより先に結衣が反応する。
「深澤んち?今朝?A?どういうこと?」
わたしが質問攻めにされている間に彼は悠々とデスクに戻っていく。
わざとだ!あれ絶対わざとだー!
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作者名:しろ | 作成日時:2022年10月7日 22時