�� ページ14
朝、家を出る時玄関で振り返る。
部屋がキレイ。
ちゃんと維持できてる。
スキンケアにもヘアケアにも気を使いだした。
自分がこんな生活ができるなんて思ってもいなかった。
こんなに変われるなんて。
それもこれも、
「A、おはよ〜。ふわぁぁ。。。」
「あ、深澤、おはよう。眠そうだね笑」
「ん。。ゆうべ遅くまでオンラインでゲームしてた。。」
「あーあ、三十路の寝不足が顔に出てる笑 歳考えないとなー笑」
「いーじゃん、俺の趣味なんだから〜」
「プレゼン中寝てしまえー」
「あっひど〜い笑」
深澤と一緒にいると転勤前の関係に戻ったみたいで楽しい。
そう、お互い相手なんていなくて、気を使うこともなくて、何も考えないで楽しい話だけできてたあの頃に戻ったみたいに。。
「めちゃくちゃおいしかったぁ。。」
「でしょでしょ！まだオープンしたてでほとんど並ばないで入れるし、穴場でしょ？」
「うん、結衣最高！会社も割と近いもんね。また来たい」
結衣に連れられて初めて行くお店でランチ。
美味しかったなあ。
深澤とこんなとこ来れたらいいのに。。
。。誘ってみちゃおうかな！？
「このあたり、あんまり通ったことない道。。」
「そう？おしゃれなカフェとか色々あるよ。ま、Aは知らないか笑」
「全くアンテナ張れてなくてすいませんね笑」
「。。。でもさぁ。。最近A、変わったよねぇ」
「。。。。そう？」
「うん、絶対変わった。ちょっと前まで自分のことホント無頓着だったのに、今は違うでしょ絶対」
「そうかな」
「何でそんなに変わったのよ？なに？私に言わないで恋でもしてる？」
「。。。。。してるわけないでしょ」
「なにその間！なんか隠してるでしょ！」
「なにも隠してないから！」
まずい！気持ちが色々表に出ちゃってるらしい！
「あ。。。れ。。？」
急に結衣の足が止まる。
「ん？どうしたの？」
「あれ。。。深澤？」
結衣の視線の先にはカフェの窓際の席に座るひと組の男女。
「ふ。。。か、ざわ。。」
「だよね？やっぱりそうだよね？」
深澤と。。。あの時の彼女だ。
「え〜、深澤の彼女かな？やっぱ深澤にいないわけないかー。。。。って、A！待って！歩くの速いって！」
忘れてたわけじゃない。
てか、忘れられるわけがない。
わかってたけど、夢を見ていたかった。
心の奥にしまった「虚しい」という感情がまたムクムクと頭をもたげてきた。
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作者名：しろ
| 作成日時：2022年10月7日 22時
