第13話 ページ15
細かいことは覚えてないけど、俺が中学に入った時から光来くんとAは一緒にいた。
二軍だった光来くんと知り合ったあの時、Aも横にいた。
コンクリートに手を擦り付けて血がダラダラと流れている俺の手を握って、まるで自分が痛いみたいに顔を歪めていたのを覚えてる。
昼神「なんで君がそんな顔するの?」
『だ、だって、昼神くんの手が…!こんな血が出て…!』
光来「とにかく手当てだ!A、絆創膏持ってるか?」
テキパキと手当てを始めた手際のいい二人に呆気にとられた。
こいつらって…優しいんだな。
その時についこの前、俺はAを見ていたことに気づいた。
二軍の光来くんが他の奴らに
「なんであんな頑張れるのか」
「チビの癖に」
そう言われていたのを体育館で聞いた。
くだらないから捨て置いたけど、それを遮った声があった。
『確かに光ちゃんは小さいけれど、それを笑うのは駄目です!』
弱々しくも意志を持って、目が馬鹿にするなと叫んでいた。
なんでマネージャーでもない奴がこんなところにいるんだろうと思ったけど、どうやら光来くんの弁当を届けにきていたみたいで。
昼神「お前ら、そういうこと言う前に練習したら?」
「ひっ、昼神!?」
昼神「君も早く戻んな。そのチビならあっち行ったから」
『あ、は、はい!ありがとうございましたっ』
走っていく姿がか弱くて、けどどこか優しさを感じた。
_______まさかその時のやつが目の前に現れるなんて。
昼神「お前ら、なんで俺のこと必死に手当てしてんの?」
星海「はあ!?手当てすんのに理由がいんのか!お前が血ダラダラ流してるからだろーがッ!」
啖呵を切る光来くんの横で、包帯を巻いてくれているAは優しく笑った。
『昼神くんは、たくさん頑張りすぎたのかもしれません。少しだけ肩の力を抜いてみませんか?』
気を抜くってなんだろう、よくわからない顔をしていた俺に光来くんが言った。
光来「三人でワイワイ飯でも食ったら楽しいだろ」
『食べましょう!』
唐突な提案で、突飛だけどその時食べた弁当は今までの何倍も美味しくて、肩の力の抜き方を教わった。
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作者名:さくさくぱんだ | 作成日時:2020年6月1日 13時