続 先代のNo. 1リベロは

五十八話 ページ9

春高、兵庫代表決定戦。

ちらほらと残暑の残り香を感じるものの、朝晩はすっかり秋を感じる時期。


一次予選は難なく突破して、本戦の今は……準決勝。

もはや恒例の時間飛ばしだけど俺は試合出てないからね、少し意見を出したりはしたけども俺の思考を読んでたってつまらないでしょ。


で、準決勝の相手だけどもインハイ予選では当たらなかったところ。

試合前のアップをして時間になったら集合、コートと相手に挨拶したら昨日ミーティングで言われたスターティングメンバーがコートに出てく。

その中に俺はいないので、コートの外に行く。

ホイッスルが鳴って審判が動作をして、いざ試合開始。


…昨日少しだけ相手の試合を見た時に受けた印象は、安定。

サーブ、レシーブ、トス、スパイク、ブロックのリズムを崩さない。

一見なんでもないように見えるけど、試合って進んでくうちに熱が入るから無意識に加速していくんだよね。

それがない、つまり一定っていうことは隙を突くのが難しい。


……稲荷崎のブーイング応援にもあんまり動じてなさそうだし、あそこまで安定があると精密機械みたいだな…。

でも力で押せばまあ勝てる相手だと思う、焦ったり加速の中でチーム内の均衡が保たれれば。







ドパ ン


「……あ、」


ピッとホイッスルが鳴り、線審の旗が上がる。


……今まさに考えていたことが起こり始めちゃうかもしれない。

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