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勝利「死んじゃダメです…」
もう逃げ出してしまおうかと思うほど 苦しい静寂を破ったのは勝利だった。
必死に絞り出したその声は 今にも消えてしまいそうなほど 小さかった…
勝利「死んじゃったら…何も出来ないです…」
勝利の唇が震えているのが見えて 心が痛んだ。
年下のメンバーになんてことさせてんだ、って
風磨「もういいよ……。助けてくれなくても」
今の俺、あのときとは違うから」
我ながら最低な人間だと思う。
死にそうになっていたところを助けてくれたメンバーにお礼すら言えない。
それどころか 傷つけるような言葉しかかけられない。
自分が誰だかますます分からなくなる。
勝利「…確かに、今の風磨くんは…あのときの風磨くんじゃない」
風磨「……」
勝利「目に光ないし…
こんなに物事を何でも否定的に捉える人じゃなかった
死んだら全部終わりにできると思ったんですか?
大間違いですよ…!」
分かってるよ……
死を選ぶことが決して楽じゃないことぐらい
死んだら また迷惑をかけることになる。
誰かを傷つけることになる。
でも今は…そんな正常な判断もできない。
まるで Aと出会う前のときの俺で…
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作者名:ゆう | 作成日時:2021年5月9日 23時