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こんな俺を世間は可哀想な奴だと同情するのだろうか。
惨めだって笑う?
助けてほしい、なんて俺が言えたことじゃないのかもしれないけど
Aに出会う前…
家もなくて、帰る場所もない。
夜中公園のベンチで眠っていたあの頃…
助けて、って何度も思った。
この4人の顔が何度も思い浮かんだ。
もう全てがどうでもよくなって、遮断機の中に入ったあのとき
だんだんと近づいてくる電車の音を他人事のように聞いていたあのとき
大丈夫だよ、
助けに来たよって、抱きしめて欲しかった…
風磨「今更、なんなんだよ……
もうほっといてくれよ!!
何で今更俺なんかに構うんだよ!!」
思い返せば これが初めてメンバーの前で流した涙だった。
風磨「もう、関わんな…」
酷いことを言ったと部屋を出た瞬間 すぐに罪悪感に襲われた。
事務所を出て 向かうべき場所はどこにもない。
もしかして、また同じ悪夢を見るのだろうか。
でももう、どうすればいい?
あのときみたいにキラキラした世界に俺は戻れるのか?
周りはどう思う?
ファンの子は歓迎してくれる?
後輩からはもう一生慕われない?
仲良かった先輩たちになんて話す?
行く当てもなく飛び出して 少し走ったところに見えた線路
吸い込まれるように 近づいたけど、
Aのことを思い出した。
毎日一緒にいたせいで 2日経っただけなのに、もう随分会ってないような感覚になる。
下がった遮断機の中に入ろうとしたけど、あのときのように簡単にはいかなかった。
「風磨くん!!」
声のする方を見れば ダッシュで近づいてくる勝利…
さっきはずっと黙ったまんまだった。
勝利「何してるんですか!!」
自 殺 は未遂に終わった。
近くの公園のベンチで 勝利が自販機で買ってくれた缶のココアを持ちながら ぼーっとする。
気まずい雰囲気が 吐きそうなくらい気持ち悪い
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作者名:ゆう | 作成日時:2021年5月9日 23時