雪のように美しい君に恋をしてしまった【キルア】其の二 (ページ3)

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ゾルディック家編 44 ページ3

「っは、そいつが試しの門に挑戦したんだろ？
だったらその重さを体感したはずだぜ」

それを聞いたレオリオが押し黙る

後ろで見ていた私たちも、その重さがわかった

「…それでも、キルアに会いに行くんだ。
仲間だから」

ゴンの決意に、ゼブロさんが微笑んだ

「それなら、
しばらくこちらで特訓していきませんか？」

＊＊＊

── 夜

私は眠れずに、外に出ていた

試しの門前の丸太に座りながら、その門を見つめ、更にその先にあるであろうゾルディック家の屋敷を思って。

ザクザクと、地面を歩く音が近づいてくる

「眠れないかい？Aちゃん」

ゼブロさんだ。
私が外へ出て行く時に、物音でも出して起こしてしまったのだろうか

だとしたら申し訳ない事をした

「明日からは特訓だ。
早く寝ないと、明日に響くよ」

私の隣で腰を下ろしたゼブロさんは
慈愛に満ちた微笑みで私を見つめる

「嬢ちゃんにとっても、キルア坊ちゃんは大切なお友達なんだろう？」

『……ともだち…』

漸く口を開いた私の反復に
ゼブロさんが違うのかい？と問いただす

私はそれに首を振った

『友達とは…
どういうものを友達と言うのでしょうか』

ずっと疑問に思っていたことを遂に口にした

最終試験の最中、レオリオが私に同じ問いをして、あの時はその場の勢いで頷いてしまった感はある

私は生まれてこの方友達と言うものが出来たことも無ければ、それを欲したこともない。

『仲間とは、違うのですか？
…あそこにいる人たちと、キルアは、大事な仲間。

けれど…友達、と仲間は…どう違うのですか？』

ゼブロさんは私の問いに、少し考える仕草をした

…難しい質問だっただろうかと後悔する

「……私とAちゃんは、
仲間じゃないが…友達だね。こうして話して、言葉を交わし心を通わせることができるんだから

仲間というのは、
君にとって彼等のような存在だろう？

友達と、仲間。これは私の解釈だが、
似ているけれど…
決定的に違う物が一つだけある」

『…それは………？』

ゼブロさんは私の方に微笑みかけ
力強い瞳で私を見つめた

夜風が私達の間を吹き抜ける
風が木の葉を揺らし、葉が大地へと舞う

ゆっくりと、けれど確実に動き出したゼブロさんの指が、私の胸元…心臓を、指す

…そして私は、理解した

ここに、あるモノを。

それは ──────

「………命だ。」

私は、息を飲んだ

世界が止まってしまったかのような感覚だった