雪のように美しい君に恋をしてしまった【キルア】其の二 (ページ13)

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ゾルディック家編 54 ページ13

｢ば…ッお前なぁッ！！｣

ﾊﾞｯと突然キルアが私の両肩を持ち距離を取った。

｢そーゆー恥ずいこと……よく平気で言えるよ。｣

頬を赤らめ目線を横に流すその姿を
突然の行動にポカンとしながら眺めた。

だって本心だもの。

｢それにお前…もういいのかよ。｣
『ん？何が？』
｢顔隠さなくてさ。｣

ああ、そういえばそうだね。
と何事もなく言ってのければ、
今度は君が目をまん丸くして固まる。

『あのね、私…怖かったの。
今まで沢山酷い事もされたし、言われてきたの。
この異質な容姿のせいで周りから拒絶されることが、
私にとっての当たり前になって。
いつの間にか、自分と世界を隔てる壁を
自分自身で作り出してしまっていたみたい。』

まだ、怖いよ。

きっと世界中どこにいても、
誰かが同じ温度で私を見て、拒絶していく。
世界が私を見る目が、変わった訳じゃないけれど。

未だ微かに震える私の肩にかかる
あなたの両手に触れた。

『でもね、変わろうと思えた。
君に…キルアに会えたから。』

大きく目を見開くキルア。
何か言いたげに口を開いて
白い首筋から除く喉仏が揺れている。

『キルアの手は…暖かいね。』
｢なん…だ、ソレ。
……俺の手は人殺しの冷たい手だ。｣

両肩から手を外し、
胸の前で祈るように君の手を握った。
悲しげに揺れるその瞳が
最終試験の終わりに見た君と重なる。

君は自分を冷たいと言うけれど。

『私はキルアの手がいいの。
暖かくて優しい、この手がいいの。』

ハッとした顔をして暫く見つめ合う
いつの間にか息のかかる距離に君の顔

｢……ずりぃ｣
『え？』
｢…そーゆー事、簡単に言うなって言ったじゃん。｣

コツン、と再び触れる額
唇にかかる息

ドクンドクンと胸の鼓動が
うるさいくらいに響く

キルアといると安心するのに
逃げ出したくなるような衝動と
この胸のざわめきは

一体何？

｢なぁ…いーの？｣
『な、にが……』
｢逃げねーなら、このままシちゃうけど。｣

上手く働かなくなった思考を何とかめぐらせ
言葉の意味を理解しようとするも
身体中を駆け巡る熱のせいで考えがまとまらない

シちゃうって、何──────？

すると突然、ｼﾞﾘﾘﾘとけたたましい電話の音が鳴り響く
その音のおかげで現実に引き戻された私の頭と
舌打ちを軽くつく君

｢ハイハイ…今出るよー｣

そう言って受話器に向かうその後ろ姿を眺めながら
冷めない身体の熱を覚ますように
隠れて小さな息を吐いた。