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「んぁ"ッ、!?…………はぁ、」
カレーが出来上がって小さなテーブルに並べていると
丁度半間くん起きた。
「あ、起きたね寝坊助め。」
「おいコラ何回人のこと気絶させりゃ気が済むんだよこのアマ。」
ゆらりと起き上がった半間くんは、ぎろりとこちらを睨んできた。
「え、そんな痛かった?ごめん、」
半間くんのマジギレっぽい雰囲気に空気が淀む。
おどおどする私をみて、半間くんは口角を上げた。
「しょーがねーから……ハグしてくれたら許してやんよ♡」
「しない。早くご飯食べるよ。」
……同居一日目で失敗したかと思った。
人を一人殺すのだって疲れるものなのだ。
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「いただきまーす。」
「召し上がれ。……いただきます、」
かちゃと金属音がなる。半間くんはスプーンに山盛りになったカレーライスを大きな口の中へ吸い込ませた。
これでも私は女なので、作ったものの反応は気になるのだ。
「ばはっ♡まっっずぃなァ♡」
雷に打たれたかのような衝撃だった。
まさしく効果音は「ガーンッ」だ。そしてなにより、
「……そんな嬉しそうに言うこと?……」
一口食べるごとにまずいって言いながらハートを飛ばしているのにとてつもなくイラついた。
「おいおい可愛い顔にシワがよってんぜおねーさん」
左手で私のほっぺを掴み、ぐい〜っと伸ばした。その手を払って私もカレーを一口。
「……?…………これまずい??」
「は?舌イカれてんだろ。」
おい、さっきまでの笑顔はどうした。真顔になるな。
……そうだ。きっとこいつは恵まれた環境で育ったんだ。
…………そういや、こいつなんでこんなとこに来たんだろ。あ"ーでもこの間ルール決めちゃったしなぁ。
「おねーさん食わねぇの?俺もらっちまうけど。」
目線が半間くんに行き、目の前には使う前くらいに綺麗になったお皿。
「食べるのはや!てかこれ私のだから。」
「は〜?だりぃ、じゃあおかわり。」
「ないわよ、もともと1人分の食料なんだから。」
あー?と片眉あげてスッカラカンになったお皿をみつめる半間くん。なんだか犬みたいでかわいいな。
「…わーったよ、ごちそーさん。」
そういって食器を台所に持っていった。
……こいつ、礼儀がなってんだかなってないんだか……。
私も洗い物をするために、残りのカレーを口に突っ込んだ。
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作者名:すき子 | 作成日時:2021年8月14日 18時