3.半間side ページ5
「じゃ、ここでのルールを教えるからそこ座って。」
「お、家庭教師プレイ？♡」
「今度は裏拳じゃなくて目潰しね。」
おねーさんとこに住むことが決定した。
頼んでもねーから別に嬉しいとかはねぇけど、おもしろそうだからいることにした。
稀咲が死んで、指名手配になって、逃亡犯ってのもイカすなぁと思ったからバイクを乗り回して各地を転々として。
そんな中転がり込んだこの家だが、正直なぜこの部屋を選んだのかは分からない。
柄じゃねぇけど、惹かれたと言えばそうなるのだと思った。
「ちょっと。聞いてんの半間くん。」
ぱんぱんと顔の前で手を叩かれる。
「…へーへー。で、なんだっけなー？」
「聞いてないじゃん。……だーかーらー、この家に置いておくためのルール。
1つ、部屋に入ったら必ず鍵をかけること。
1つ、絶対に手を洗うこと。
1つ、家に帰る時は絶対に誰もつけさせないこと。
1つ、このルールを破ったら罰を受けること。
たったこれだけ。テストより簡単でしょ？」
……なんだこのルール。やっぱヤベェ奴ってのはわかってっけどよぉ、
「…もうひとつ追加。」
おねーさんは俺の素振りをみてか、突然言い出した。こーゆーのもありなのかとはツッコミたくなったが、おもしろそうな予感がした。
「互いのことは詮索しないこと。」
……ほらな♡やっぱこいつ、俺と同じ、
「あんた、犯罪者だろ♡」
＿＿＿
「っ、ぐ、……あ？」
はっと意識を取り戻した。
＿＿＿犯罪者だろ。そう口にしたのは覚えてる。
「あ、起きた？なんですぐルール違反するかなぁ。」
おねーさんは俺を見るなり、救急箱を開けた。
ズキズキと痛む額に手を当てた。
「……は、？血、？」
おねーさんの方を見た。
「……半間くんが悪いんだからな。詮索しないことって言った矢先にあんなこと言うから。大丈夫。浅く切るようにしたから。血は出てるけどすぐ止まるし。傷も残らないよ。」
ぺたぺたと大きめの絆創膏を貼っていく。
俺の頭の中は、フル回転しても捌ききれない情報がたくさんあった。
「……あんた、
「……また、ルール違反するの？」
取り出したハサミを静かに俺に向けた。
「…………なんでもねーよ、だりぃな。」
なぁ稀咲ぃ、また始まるぜ？
サーカスの第二幕目だ♡
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作者名：すき子 | 作成日時：2021年8月14日 18時
