45繰り返す砂時計 ページ46
──それからどれほどの月日が流れただろう。
海の中から姉ちゃんは見つからず、数日が経った。
俺に同情の目が向けられ、数週間が経った。
あの日から見える日常は何か物足りず、数ヶ月が経った。
「……姉ちゃん」
そして今日も、俺はつまらない1日を過ごす。
姉ちゃんが来る前の真選組と何も変わらないじゃないか。
と、自分に言い聞かせてもぽっかりと心に空いた穴はふさがらない。
どうしようもない状況に腹がたつ。
探しても探してもパズルのピースが見つからない。最後の1個なのに、どうしても見つけられないんだ。
「おい、総悟」
アイマスクを上にずらし、声の主を睨んだ。
「精神統一を邪魔しないでくだせェ」
「……あとで見回りだから、逃げんじゃねェぞ」
そう言い、奴はどこかへ歩き出した。
あの日から変わったこと。
皆の態度が変わった。多分、姉を2人も亡くした俺に気を遣ってるんだろう。いや、まだA姉ちゃんが死んだと決まったワケではないが。
何となく……察してるんだと思う。
突然いなくなった副長補佐。それに戸惑いを隠せない隊士達。
さっきの土方さんも調子が狂う。いつもなら怒るハズなのに、やけに優しくて気持ちが悪い。
テメェはいつもイライラしてりゃいいんでィ。
「……はァ」
姉ちゃん、俺は……ずっとアンタを尊敬してた。姉としてではなく、1人の人間として。
昔、姉上も姉ちゃんも守ると誓った。
けれど、守られていたのは俺の方だった。
2人の姉がいなくなった今、俺には何が残ってる?
ぽたりと、地面に落ちた。
「こんな時に雨なんざ……」
空を見上げた。
──真っ青で、雲1つ無い。
明日も明後日も、こんな日々が続くのだろうか。
493人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオト(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。な、泣いたですと!?作者として非常に嬉しいです。今のところ続編は考えてませんが、もし新作のネタに困ったら作るかもしれませんf^_^;) (2015年12月11日 23時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - とっても面白いです!!良すぎて読みながら泣いてました!!続編に続いて欲しいです!! (2015年12月11日 15時) (レス) id: cfd050b9dc (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 通りすがりの加藤さんさん» いえいえ!こちらこそ長い間あやふやにしてすみませんでした。 (2015年6月25日 22時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの加藤さん(プロフ) - アオトさん» なるほど!ご説明ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年6月25日 7時) (レス) id: 204089a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - イチゴさん» イチゴさんありがとうございます!説明下手ですみません。もし続編or番外編を書くことになったら、この夢主復活までのお話を書きたいと思います(^_^) (2015年6月24日 20時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アオト | 作成日時:2015年2月26日 21時