43崩れやすいので ページ44
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刹那、全身が震えるほど激しい爆音が辺りに鳴り響いた。空気が揺れるような熱い衝撃波を感じ、立っているのもやっと。
……何だっ!?
ガラスの破片が爆風で飛来し、とっさに両腕で顔を守るようにおおう。
「トシっ!船が……!」
近藤さんの声が耳に届いた。
腕の隙間から船を見る。
が、
「んだよ……あれ……」
そこにあったのは、大きな船ではなかった。
真っ赤な炎に包まれ、黒煙を上げながらゆっくりと海に沈んでいく無機質な塊。
──ここでようやく、爆発が起きたんだと脳が理解した。
まぎれもなく自分達がさっきまで乗っていたそれは、信じられないほどに呆気なく終わりを迎えていて。あと少し逃げるのが遅れていたと思うと、背筋がゾッとした。
「土方さん、あの船には誰もいないんですよねェ」
俺の隣に来た総悟が言った。
その瞳には同じく、燃え続ける船が映っている。
……。
だが、その質問に俺は何も答えられない。
"あいつ"に繋がっているハズの携帯電話に耳を当て、声をかける。しかし返事は無い。
お前が……切るなと言ったんだろ。
それなのになんで……。
思考回路がショートしたかのように、目の前の出来事ひとつひとつが過去へと流れていく。
Aは、安全な場所にいる。絶対にいる。
あいつは嘘をつかない。
だって、あいつが……。
振り払うように、頭を左右に振った。
あいつは無事に決まってる。またあとで、ひょっこり現れるんだ。何食わぬ顔で、昔のように。
「……」
疑いたくない。
考えたくない。
もしあいつが、あの船にいたらなんて。
違う。
俺は絶対にAを信じてる。
きっと真選組に帰って来るんだ。
じゃなきゃ俺は、
一体何を守ったことになる?
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アオト(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。な、泣いたですと!?作者として非常に嬉しいです。今のところ続編は考えてませんが、もし新作のネタに困ったら作るかもしれませんf^_^;) (2015年12月11日 23時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - とっても面白いです!!良すぎて読みながら泣いてました!!続編に続いて欲しいです!! (2015年12月11日 15時) (レス) id: cfd050b9dc (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 通りすがりの加藤さんさん» いえいえ!こちらこそ長い間あやふやにしてすみませんでした。 (2015年6月25日 22時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの加藤さん(プロフ) - アオトさん» なるほど!ご説明ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年6月25日 7時) (レス) id: 204089a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - イチゴさん» イチゴさんありがとうございます!説明下手ですみません。もし続編or番外編を書くことになったら、この夢主復活までのお話を書きたいと思います(^_^) (2015年6月24日 20時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月26日 21時