13雲行きは怪しく ページ14
「……最近、攘夷浪士の動きが活発になってるらしいな」
近藤さんと見回りに出ていた私は、その言葉に首を傾げた。
「初耳です。桂一派のことですか?」
「いや。桂とはまた別の攘夷党でな。確か……あれ?名前なんだっけ?
……とりあえず!過激派であることは事実だ!」
物凄く重要な部分を忘れてしまっている近藤さんに呆れてしまう。
桂とはまた別か……。しかも過激派。
攘夷浪士というものは、何を考えているのか全くわからない。まあ、国を変えようとするその度胸と行動力だけは見習いたいものだ。
そんなことを考えていると、近藤さんが大きな声をあげた。
「お、おおおおお妙さァァァァァん!!」
そう叫びながら向かった先には、1人の女性。
この前土方から聞いたキャバ嬢のことだろう。ストーカーに励んでいるとは知っていたが、まさかここまで酷いとは。もう犯罪だ。
「どこから湧いて出てきたこのクソゴリラァァァァァ!」
ポニーテールの"お妙さん"は、容赦なく近藤さんを殴る。
顔がパンパンに腫れ、鼻血を垂らす姿は哀れとしか言いようがなく、無性に涙がでそうになってしまった。
「失せろゴリラァァァァァ!」
さすがにこのままではマズイと思った私は、近藤さんの命が尽きる前に止めに入る。
「ウチの者が迷惑をかけてすまない」
私に気づいたお妙さんは、殴っていた手を止め、近藤さんにとどめの蹴りを食らわせた。
「あら、すみませんね。このゴリラ本当にしつこくて……」
「……」
やれやれ、とでも言いたげにお妙さんは溜め息をつく。そして、私の顔を見て、「え」と驚愕を顔に浮かべた。
「あの、名前をお伺いしても?」
「……沖田Aだ」
「沖田!?」
もしかして、総悟の知り合いだったのか……。
私の顔をまじまじと見つめるお妙さん。なんだか気まずい。
「……近藤さん。ほら起きて。まだ仕事の途中ですよ」
「……うーん。お妙さん……」
いたたまれなくなってしまった私は、頭を痛そうに抑える近藤さんを連れ、その場を後にした。
お妙さんの視線を背後から感じたが、私が振り向くことは無かった。
◆ ◆ ◆
「沖田さんのお姉さんかしら?」
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アオト(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。な、泣いたですと!?作者として非常に嬉しいです。今のところ続編は考えてませんが、もし新作のネタに困ったら作るかもしれませんf^_^;) (2015年12月11日 23時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - とっても面白いです!!良すぎて読みながら泣いてました!!続編に続いて欲しいです!! (2015年12月11日 15時) (レス) id: cfd050b9dc (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 通りすがりの加藤さんさん» いえいえ!こちらこそ長い間あやふやにしてすみませんでした。 (2015年6月25日 22時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの加藤さん(プロフ) - アオトさん» なるほど!ご説明ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年6月25日 7時) (レス) id: 204089a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - イチゴさん» イチゴさんありがとうございます!説明下手ですみません。もし続編or番外編を書くことになったら、この夢主復活までのお話を書きたいと思います(^_^) (2015年6月24日 20時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月26日 21時