53.突き放して ページ6
この会話の流れでどうしてそんな考えに至ったのかは不明だが、特に断る理由も無かった私は快く承諾した。折角だから新しいコーヒー豆でも買おう。
そういえば山姥切君と２人で街に行くのは、花瓶を買いに行ったあの日以来だなぁ。もうそれから２ヶ月も経つんだね。早いような遅いような。
２０代前半にも関わらず、これも歳かな、なんてしみじみ感じた。
◆◆◆
前回と同じく、sunny cafeで待ち合わせをした私達。私服までもがオシャレな山姥切君に恥をかかせないためにも、私は久しぶりに服を新調し、更にヒールなんてものを履いた。
普段から身なりは動きやすさを重視しているので、今日はかなり頑張ったつもりだ。にしてもスカートはいつぶりだろう？
すると、前方から駆け足でやって来る山姥切君を発見。服には興味が無いなんて言いつつも、相変わらずのオシャレさんである。まあ顔も体格も良いから、きっと何を着ても似合うんだろうね。
「……主、待たせてすまない」
「私も今さっき来たところだよ」
「それで、行きたいところは決まったのか？」
私に合わせてくれるという山姥切君。
それでは彼のお言葉に甘えて、今日は色々と付き合ってもらうことにしよう。まあ大体は仕事関係になっちゃうんだけどね。
まずは前にも言った通り、コーヒー豆を買う！
「スーパーで買うのか？」
「ううん。実はいきつけの専門店があるんだ」
最寄りの駅の近くでひっそりと営まれている、sunny cafeよりも小さなコーヒー豆専門店。
その重い木製の扉を開けると、たちまちほろ苦い匂いが鼻いっぱいに広がった。店内には、数々のコーヒー豆が産地別に分けられている。
山姥切君は足を止めて不思議そうにそれらを見つめるが、反対に私は迷いなく店の奥へと進む。案の定、この店の
「
「……ん、あ？」
「百合草です。コーヒー豆を買いに来ました！」
「あら、Aちゃん？ いらっしゃい」
瞼をこじ開け、眩しそうに数回瞬きをするおばあさん。彼女こそが、このコーヒー豆専門店の主である佐々木さん(年齢不詳)だ。私がカフェを開業した当初からお世話になっている。
「いつものでいいかしら？」
「はい。お願いします」
慣れた手つきで佐々木さんはコーヒー豆を袋に詰める。
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ツキノ(プロフ) - この作品が大好きです。。もう何周もしてます…こんな素敵な作品をありがとうございます！ (2022年1月17日 0時) (
レス) @page50 id: b34edaf8ba (このIDを非表示/違反報告)
尊 - 最期まで清く上品な作品でした。素敵な作品を読めて幸せです！ (2020年5月6日 14時) (レス) id: 83655268b3 (このIDを非表示/違反報告)
テクノ(プロフ) - とても感動しました。皆が幸せになってくれて良かった。 (2019年3月21日 1時) (レス) id: 5d0adffebe (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 桜餅さんさん» 気に入っていただけて嬉しいです！紳士でロイヤルな一期君も勿論ですが、少しヘタレだといいなという私の願望を詰め込みました（笑）いえいえ、こちらこそ楽しいリクエストありがとうございます！ (2017年9月23日 15時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
桜餅さん(プロフ) - こういう一期さん待ってましたありがとうございます（遺言） (2017年9月23日 14時) (レス) id: 75edde69e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオト
| 作成日時：2017年8月12日 0時
