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「総悟、俺達は先に戻ってる。あとは頼んだぞ」
空気を読んだつもりなのか、土方さんはこの場を後にしようとする。
や、止めてくれ……!私の沖田さんを2人きりにしないでくれ……!
どういう経緯で沖田さんにバレたのかは知らないが、とりあえず沖田さんから怒りオーラが滲み出ているのはわかる。
私が必死に視線で訴えかけても、土方さんは気づくことなく、部屋を出て行ってしまった。
「……」
「……」
私は無言のまま部屋の隅を見つめる。横から沖田さんにガン見されてると思うが、罪悪感のせいで振り向くことができない。
「……Aさん」
「はい……」
「なんで、この仕事引き受けたんですかィ」
「ひ、土方さんに頼まれてですね。山崎さんの女装ではさすがにマズイということで……」
私がしどろもどろになりながらそう言うと、小さく「ザキ殴る」という物騒な言葉が聞こえた。いや、山崎さんは関係ないから。
「それにしても……どうして気づいたんですか?私が遊女やってるって……」
抱いていた疑問をぶつけてみる。
「……そんなの、気づかねェ方がおかしいですぜ。ここ数日、Aさんの姿を見てないと思って近藤さんに尋ねたら、まあペラペラと話し出して。
慌てて吉原に来たら、土方さんと隊士がなにやらモニター囲んで怪しいことしてたんで、覗いて見たら、
──Aさんが見知らぬ男に押し倒されて、首に刀押し付けられてやした。
そこから先はあんまり覚えてないんでさァ」
「……」
そんなことがあったとは知らなかった私は、何も答えきれず、「すみませんでした」と謝ることしか出来なかった。
「本当に心配しやした」
「す、すみません」
「……でも、無事で良かった」
「それは……沖田さんが助けに来てくれたからです」
「……」
顔を俯けていると、突然後ろから抱き締められた。
沖田さんの表情を見ることは出来なかったが、安心した私は、回されてきた腕を握り返す。
あの時は、死んでしまうと思ったけど……。
改めて、沖田さんに愛されてるんだなァと実感した瞬間だった。
──潜入捜査も案外悪くないかもしれない。
◆ ◆ ◆
「Aさんを押し倒そうなんざ、10万年早いんでィ」
終わり。
▼まゆごん☆彡さんリクエストありがとうございました。
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特撮オタク女子 - とても面白かったです!ありがとうございます! (2019年8月15日 20時) (レス) id: f9b0269678 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - すごくおもしろかったです! 文を書くのがお上手ですね〜! このお話に出会えて良かった! (2018年3月2日 18時) (レス) id: f7a865ee48 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 美空さん» 美空さんコメントありがとうございます!返事がかなり遅れてしまい申し訳ございません!わ、お気に入り作品に登録してくださり感謝です!ましてや作者にまで登録だなんて……!?とても嬉しいです。これからも頑張ります! (2018年1月13日 21時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
美空(プロフ) - 悪女のいろは、読ませていただきました!ほんとに面白かったです(〃▽〃)読み出したら止まらなくなっちゃって、お気に入り作品&作者に登録させてもらいました!(^o^)/ (2017年2月5日 3時) (レス) id: c3845c95d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴村 - 面白いです (2015年5月31日 17時) (レス) id: 56954dcc8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月20日 18時