世界セーフク少年少女｡

☆ ページ17

「ごめん！神宮寺！ たまたま欠席のやつがいて、借り物競争出てくんない？」






神宮寺「いいけど、別に。」








さっきAをおんぶできたし
今の俺はなんだか上機嫌だ。





俺、ちょっとかっこよかったかも？なんて。






自惚れもいいとこ。









・








岩橋「あ、神宮寺も出るんだ。借り物。」









神宮寺「ああ、まあ。」








ハチマキをかわいらしく巻いた姿は
そのへんの女子より女子力が高そう。

でもこの顔で俊足なのだから。



なかなか侮れない相手だ。









岩橋「お互い頑張ろうね？」







天使なのか悪魔なのかわからない笑み。









そんなこんなでスタートのピストルが鳴る。









白い紙を一枚取って開くと……









神宮寺「っしゃ！」









俺はすかさずAを探す。






これはAしかいない。









観客席で楽しそうに競技を見るAを見つけた。









神宮寺「Aっ……！」









全速力で向かおうとしたら









そこで玄樹がAの手を引いた









神宮寺「え……？」









頭の中が真っ白になる。





笑いながら走るAを見るとどうにも言えないくらい、悔しくて、切なくなって









好きな人









と書かれた白い紙をグシャッと握った。









・









・








岩橋「Aちゃん！ちょっと借ります！」







「えっ？」









よくわからないままぎゅっと手を引かれて
連れて行かれる。









岩橋くんが白い紙を係の人に渡すと







びっくりした顔でまじまじ見られて






え、何？







そんな隣の岩橋くんは笑顔。









「紙になんて書いてあったんですか？」








終わってから疑問に思って








岩橋くんはにっこり笑って紙を開いて差し出す









「えええええええええっ…！？」









目に入った二文字









恋人＿＿









岩橋「関わりがある女子がAちゃんくらいしかいないからつい……ごめんね？」









「あー。そういうことですか！」








それじゃ仕方ないよね。
岩橋くんがわたしに気があるわけないし









岩橋「こんなの不利だよねえ……


俺、恋人なんていないのに。」









困ったように微笑んで
わたしもつられたように笑った。

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