世界セーフク少年少女｡

☆ ページ32

ドレス……なんて





正直、わたしはおしゃれでもなんでもない。









スタイルも良いわけじゃないし







最近の流行もあんまりわからない。


そうなら誰かと一緒に選んだほうがいい。









できれば＿＿女子力が高い人と！









岩橋「で、俺なの？」




「はい…すいません……」







岩橋「元彼をドレス選ぶのに誘うって

ほんとAちゃんってわけわかんない…」









とは言うものの岩橋くんはわりと乗り気で








これなんてどう？といろいろ見せてくる。









店内中ぎっしりと並んだドレスや
キラキラとしたアクセに小物。









可愛らしいデザインのものから
セクシーで大人っぽいものまで。









でもわたしにはそんな背伸びしたものは
似合うわけがないので……
それとなく手に取った可愛らしいふんわりとしたシルエットのドレスを岩橋くんに見せる。









「これとかどうかな？ かわいくない？」









すると岩橋くんは顔をしかめて




岩橋「却下。」


「え〜〜！？ なんで！？」









岩橋「子供っぽいから。」




「子供っぽいもん！ 」









岩橋「Aちゃんにはこれがいいよ。」









と合わせてくれたのは





ウエストがキュッと絞られた
鮮やかな紅の大人っぽいロング丈でわたしとは対極にあたるドレス。









あ…この色、ブレザーの色に似てる。









「でも…こんな大人っぽいの、似合わないよ！

身の丈に合ってないっていうか……」









岩橋「何？ 自分で呼んでおいて俺の言うこと

聞けないってわけ？」









強気に言う岩橋くんを前にしたら
引き下がるほかなく。









無事、お買い上げ。









大きな紙袋を提げて道を歩く。








「買ったはいいけど、ペアがいないんだよね」





岩橋「は？ ペア？ 何言ってんの？」







「えっ！？岸先輩の話と違う…」









岩橋くんは吹き出すとお腹を抱えて爆笑して









岩橋「それ、絶対の岸の勘違いか嘘だよ！


ペアで参加は原則だけどそれは卒業生。



Aは違うじゃん。」









「なーんだ……それなら良かった…」







岩橋「ま、ペアでもペアじゃなくても
どっちでもいいんだけどね。 ひとりぼっちで食事とか寂しすぎるでしょ？」









ひとりぼっち……か。

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