【バンやろ】一方通行両想い【巻宗介】

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｢徹平の顔面先制攻撃が効いたな！｣

｢人の顔を武器みたいに言うのやめてください！｣

｢さすがマフィア仕込みの顔だな〜｣

｢顔は生まれつきだし！！マフィア関係ないっすからね？！｣



そう言って大和先輩と翼先輩さんはケラケラ笑っている。
なんかこの風景久々に見たかも…

安心したら急に力が抜けて、思わずその場に座り込む。


｢大丈夫か？｣


宗介が心配そうに声をかけてくれる。
それが嬉しくて、涙が出そうになる。
でも、まだ、我慢しないと。泣いてる場合じゃない…


『うん、大丈夫…安心したらつい』


私はゆっくり立ち上がった。


『あ、あの…私、宗介に言いたい事があって…』


私がそう言うと、宗介はそっぽ向いて俯いてしまう。

｢…俺は別に…何も…｣


そう言いかけた宗介の頭を翼先輩さんが叩いた。


｢…ッてぇな！何すんだよ！｣

｢別にじゃないだろ。ちゃんと素直になれって｣

｢そーだぜ宗介！逃げるなんてカッコ悪いぞ！｣


｢…チッ｣


宗介は軽く舌打ちしたものの、顔を上げ、ちゃんと私の方を見てくれた。


｢…分かった。お前の話を聞く｣

少し不貞腐れながらそう言った。


｢じゃ、またな、宗介！A！｣

｢頑張れよ〜！｣

｢宗介先輩、お疲れ様でした！｣



後ろで様子を見守っていた３人は、急に私達を置いて足早に帰っていった。

ちょっと心細いけどしょうがない。
周りに頼りすぎるのは良くないもんね。



取り敢えず落ち着いて話せるように、公園に移動することになった。

その道中はずっと無言だった。
互いに目も合わせない。


私と宗介の間には、僅かに空間があって…
手を伸ばせば届く場所に宗介が居るのに、触れられないもどかしさと切なさとで、私の胸はいっぱいだった。

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