8-3 風邪の抑え薬 ページ29
薬研｢たーいしょ！｣
｢…やﾞげ…｣
鶴丸｢あんまり良くなってないようだな
ほら、主。美味いうどんを作ってきたぞ！｣
寝てる間にきていた鶴。もっているうどんはいらない。という意味も込めて首を横に振る
鶴は少し顔をしかめて、うどんを箸ですくい上げると、私の口に近づけた
｢…んぐっ…｣
鶴丸｢だめだぞ。しっかり食べないと治るもの治らん｣
薬研｢鶴丸の言うとおりだぜ
二口、三口でいい。少しでも腹に入れておけ｣
｢……あﾞづい…｣
鶴丸｢ああ。すまないすまない｣
ふーっと覚まし始める鶴をじーっと見つめる
薬研｢…っふ…鶴丸。俺、この後出陣なんだ
悪いが、大将を頼めるか？｣
鶴丸｢ああ。慣れたもんだ｣
｢…きをつけてね…｣
鶴間｢ほら。君はこれを食べるんだ！｣
薬研｢大将。ちゃんと薬飲んで寝るんだぞ｣
｢うんﾞぐぅ…｣
鶴丸｢ほら。噛むんだ！｣
鶴を一瞥してから、部屋から出て行く薬研
そんな薬研にひらりと手を振って、口の中に入れられたうどんをゆっくりと噛む
鰹節のよく聞いただしに、めんつゆでしっかり味付け
少し甘いのは、しいたけか何かで出汁をとっていたのか、昔見た記憶を思い出す
鶴丸｢…どうだい？｣
｢……おいひい｣
鶴間｢！そうかい。ほら、もっと食べろ！｣
｢んぐぅ｣
やっぱりさっきと同じように、お汁の味がしっかりついているうどん
でも、少し温かい
｢…つる。これどおつくるの？｣
その言葉にふふ、と笑うと、うどんをまた近づける
そして
鶴間｢内緒だ！｣
なんて、今度は歯を見せて笑った
｢(…たまには、風邪を引くのも悪くない)｣
なんて
昔のような光景に、ずきりと胸が鳴る
全て食べ終えて、ゆっくりと布団で寝る主の汗を拭いながら寝顔を眺める
後藤｢鶴丸さん。皿、片そうか？｣
鶴丸｢ん？ああ。悪いな｣
後藤｢零。調子どうだ？｣
鶴丸｢食欲はあるようだな｣
後藤｢そっか。よかった…なあ。鶴丸さん
さっき、薬研がいちにいに｣
｢鶴｣
後藤の声を遮って、部屋の中に入ってきた爺にため息をつく
後藤｢み、三日月さん…｣
三日月｢ん？ああ。後藤か。皿を片すのか。えらいなあ
よし。褒美にお菓子をやろう｣
そう言いながら、後藤に飴を渡す三日月
遠回しに、とっととでてけって言ってるぞこの爺は
それに察せないほど後藤は鈍くはない
後藤を見送ると、三日月はこちらを見て、妖美に笑った
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作者名：46猫 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月26日 23時
