8-2 風の抑え薬 ページ28
｢…やﾞげ…｣
薬研｢……辛いなあ…
大将は熱出るといつも長引いて辛い思いしてるからな
毎年気を付けていたが…俺の配慮も足りてなかったな。わりぃ｣
私が二言三言を話せば、全て察して話してくれる薬研
ちょっときもい…((
｢………て…｣
｢ん？ああ。大丈夫だ。大将
正面には平野と前田。後ろには愛染と信濃。左部屋には厚と後藤。右には五虎退と今剣がいる
庭には大太刀の旦那方や太刀の旦那方もいる
ここには俺っちがいるんだ
しっかり手も握ってるぞ。安心して眠ってくれ｣
｢…移った…｣
｢平気だ。俺は医療の知識もある
移らないように最善の方法を取ってるさ｣
｢…………つﾞる…？｣
｢ん？ああ。鶴丸なら厨で大将の飯を作ってるよ｣
薬研の手が、布団の上でゆっくり動く
｢…おやすみ。大将｣
薬研の、静かで落ち着いた声に安堵しながら、意識を暗闇へ放り投げた
薬研｢…もう入ってきていいぞ。兄貴｣
一期｢ハァ…薬研。お前、私が零殿に何か言おうとしたのを気付いていたね｣
薬研｢兄貴がいると、大将は気を休めらんねえだろーが｣
一期｢…そうかい｣
寂しそうな顔で、大将の横に平然と正座をして、大将の頭を撫でようとした
パンッ
そんな兄貴の手を、俺ははたき落とす
一期｢っ薬研！｣
薬研｢大将を
…大将を悲しませるアンタが、大将に触れんじゃねえ｣
目の前の兄貴を睨みつける
兄貴は、目を伏せると、殺気を俺に向けて放った
ガタッ
薬研｢安心しろ。兄貴だ｣
襖越しに、兄貴の殺気を感じ取ったやつらが自身を構えていた
俺の声に、自身を鞘に戻すと、もう一度、正座をして座り直した
一期｢…どういうことかな｣
薬研｢知らねえだろうさ。大将が最近なんで笑わなくなったのか
アンタはずっと、補佐官の方に張り付いてるからなあ｣
一期｢兄に向かってその口の利き方は何だい
調子に乗るのもいい加減にしなさい。薬研｣
薬研｢っは、
大将の初太刀であるアンタがなにも知らねえなんて滑稽だな｣
そう言うと、兄貴はより一層に俺をにらみつけた
薬研｢教えてやろうか。なんでAが笑わなくなったか｣
｢原因はアンタらだよ｣
はんっ、と鼻で嘲笑うと、兄貴は驚いて目を開いていた
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作者名：46猫 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月26日 23時
