禁忌編〜1〜 ページ10
◽️元より、星漿体である天内理子の護衛任務に関して違和感があった。
羂索の企みは天元と日本全土にいる人類全員を同化させ、人類を強制的に進化させること。その前提には天元と星漿体の同化失敗があったはずだ。
しかし、伏黒甚爾の介入に羂索の影が見えない。運要素があまりにも強すぎる。伏黒甚爾が星漿体暗殺任務を受けるかどうか、五条に勝てるかどうか。
「……」
そもそも、1週目の時の同化失敗の時点でやりなおしにならなかったことにも疑問を抱いた。
──同化しても、しなくても計画には関係なかったのか?いや、そもそも夏油の離反を阻止しなくとも、この時代にいる羂索を叩けばいい話のはず。やり方が回りくどい気が。
時間遡行後。間白に与えられたのは渋谷事変、死滅回遊における重要分岐に夏油離反があるという情報のみ。
"猿の手"曰く、この時代においてはどこにいるかもわからない羂索を叩くより夏油の離反を阻止した方が早いとのことだ。
「A。突っ立ってねぇでオマエも遊べよ」
五条の声に間白は煮詰まった思考を一旦流した。
「私、泳げないからいい」
「はぁ?!マジかよ」
護衛任務の途中、星漿体の世話係である黒井が人質交換を目的に拉致される。
取引場所は沖縄。
その救出と同時に更なる人員配置がされた。那覇空港ターミナルの監視には後輩である七海と灰原。そして、護衛役補充に間白が選ばれた。
この流れは1週目と同じだ。
「あれだ、習うより慣れろだ」
「あ、やべっ」
つい反射で、1週目の時と同じ答えを返してしまった。
間白はなす術なく五条に担がれ
「やめるのじゃ!嫌がっとるではないか!」
「そぉーーい!」
天内の制止も虚しく、海へ投げ飛ばされた。
しかし、間白の体は濡れず、体が海面に沈むこともなかった。
「術式使ったら意味ねぇじゃん」
「水泳教室なんて頼んでない」
と間白はそそくさと五条から離れ、夏油と黒井がいる方へ寄った。
「夏油君。あいつ寝てないだろ。変なテンションになってる」
「Aも気づいた?」
「後で寝るよう説得してほしい。夜のホテル警備は私がやる」
「わかった」
「あと。黒井さん、申し訳ないんですが、今晩はお2人の部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「わかりました。あっ、でもツインなのでベットの数が」
「大丈夫です。代わりにお風呂場を使わせていただけないでしょうか」
間白の申し出に黒井は戸惑いながらも了承した。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2024年2月20日 18時