4人いた【呪術廻戦】 (ページ7)

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幕間　矛盾の解決ページ7

◽️2005年への時間遡行後、間白が一番最初にやったこと。それは戸籍謄本の取り寄せであった。

「生年月日が変わってる。親の記載がないし、出生届人は仙台市の市長ってことになってる」

　戸籍の記載から分かるように間白は棄児ということになっていた。

「おじさんが言ってた代償ってこれ？」
　──そうだ。

　過去への時間遡行には様々な問題がある。
　それは矛盾。別名タイムパラドックスと呼ばれるもの。
　有名なもので言えば、「親殺しのパラドックス」や「ドッペルゲンガー」が挙げられる。
　この矛盾が、未来の人間が過去に存在することを許さない。
　一応、解決方法はある。
　それは「ハイゼンベルクの不確定性原理」。これは「観測者に観測されるまで確定しない」というものだ。
　この原理を願いの代償という形で間白に適用した。
　つまり、過去への時間遡行を可能にするため、元いた時間軸から間白Aに関する記憶、記録が完全に抹消された。
("猿の手"は間白の体の一部と数えられているため間白との記憶が抹消されていない。)
　これで間白の観測者はいなくなった。間白の存在は不確定となった。不確定ということは、様々な可能性が仮定できるようになったということだ。
　間白は1989年に生まれた棄児であり、仙台市にある乳児院と児童養護施設で育った、という可能性。
　これで間白は過去である2005年に15歳の年齢のまま存在することを許された。

「あらゆる可能性が仮定できるようになったとしても都合が良すぎない？時間遡行してから1番苦労するの、呪術高専の入学だと思ってたんだけど」

　時間遡行後、間白はすでに呪術高専の入学が確定している状態だった。
　どうやら、入居していた養護施設内で発生した呪霊を祓ったところを関係者が見ていたから、ということらしい。

　──羂索の企みを阻止するための時間遡行だからな。最低限、動きやすくなるように調整が入ってるんだろ。多分。
「多分って……。自分の能力でしょ」
　──俺がマトモに使われたのは片手で数えられるぐらいだ。大半は、どっかの物置とか、倉庫とかに保管されている人生だったからな。俺自身でも"猿の手"の力はよくわからん。