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「これが五条君だったら鍾乳石の1つや2つはぶっ壊れてたよ。担当が夏油君でよかった」
「でも、1年生の時に比べたら随分落ち着いたよ」
「それは夏油君のお節介あってこそだよ。それに、未だ彼は自分の善悪の指針を君に任せている節がある」
「そう、なのか?」
「気づいてなかったの?君自身は奉仕気質だと言うのに他人からの好意には疎いんだな。じゃあ、わかりやすい形で好意を与えてやろう」
間白はポケットから個包装の飴を取り出し、夏油に投げよこした。
「その呪霊玉の味、不味いでしょ。変に味がついてると逆にきついと思うから、ハーブ系のにしてみた」
「……ここまで見透かされていると、もはや怖いんだが」
「いや、ダメ元で聞いてみただけ。まんまと引っかかってくれたようだけど」
「そういうところ、悟に似てきたんじゃないか?」
夏油はもらった飴を口に入れた。
「これは、どちらかと言うと親だな」
そう言って間白は右腕を見せつける。今日は包帯を巻いていない。普通に忘れてきてしまった。
任務は自体はこれで終わった。しかし、補助監督に連絡を取ったところですぐに迎えはこない。あと一晩はこの村にいることになる。
間白はとっととこの村から出たかった。
1週目。ここで夏油は村人を皆殺しにする暴挙に出た。非術師に対する憎悪の念は元からあったが、それでも殺人という一線を超えさせる何かがあったはず。
今回は夏油に愚痴を吐かせることができたが、彼自身が完全に吹っ切れているかどうかはわからない。
前回と違い、今は間白が同行している。村人皆殺しは阻止できるかもしれないが、呪詛師の道を進むことは止められないかもしれない。
そんな懸念を抱えながら間白は夏油と共に村へ戻った。
此度の任務の依頼主である陰谷親子に直接報告をすると、彼らから別件で相談があると言われた。
間白は嫌な予感がした。そして、それは見事的中することとなった。
「これはなんですか?」
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作者名:四畳間 | 作成日時:2024年2月20日 18時