平穏な ページ19
3週目。
再度、牢屋の中。
申し訳程度に設置されたベットとペラペラの敷布団に寝転がり、"猿の手"の生得領域へ意識を飛ばす。そこは唯一、牢屋にいても監視の目が届かない場所だ。
「いいか、A。俺たちは反逆の罪で捕えられている罪人だ。俺がいた国ならその場で打首もの。だが、前回の様子を見る限り、死刑執行の手続きに手間がかかっているように見えた。多分、俺たちに死なれちゃ困る奴らがいるんだろ」
「まぁ、拘束してきた奴らもなんだか焦ってた印象だったし。上層部の中で、私を殺したい人と生かしたい人同士で争ってるんだろうね」
「俺もそう見てる。となれば、その生かしたい人たちの言い分や状況が優位になった時、俺たちはここから出られる」
「それはわかるけど、どうやって?」
「いいのがいるだろ。お前の仕事を2倍に増やす悪ガキどもが」
「というわけで出て来れたわけ。2人とも、ちゃんと読んでくれてたんだね」
拘束から7日目。間白は無事に解放された。
"猿の手"との作戦会議の後。間白は"猿の手"を使って、五条と夏油に手紙を送った。
内容はこうだ。
『呪霊を倒すついでに建物の1棟や2棟、壊してこい』
「そういうことか。とうとう、やさぐれたのかと思ってた」
家入は2本目のタバコに火をつける。
「え、やさぐれって、そんなに壊したの?」
「先生に拳骨喰らったぐらいは。んで、今日、高専に戻ってきたことは伝えてあるの?」
「いや、知ってるのは硝子ちゃんと先生たちだけ」
ガラリと教室の引き戸が開いた。そこにはジャージ姿の七海と灰原がいた。
「ん、久しぶり」
間白が返事をしたのも束の間。
「家入先輩!間白先輩お借りします!」
「おー、持ってけ」
間白は後輩2人に担がれながら廊下を走り、階段を駆け降りる。
「お、あ、ちょっとどこ行くの?!」
「武道場です!先輩たち喜ぶぞ!」
「アナタがいなかった間、元から面倒な人たちが更に面倒になったので。とっとと会いに行ってください」
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作者名:四畳間 | 作成日時:2024年2月20日 18時