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◽️星漿体護衛任務から1週間後。
「ねぇ、A知らない?」
「教室には来てないよ」
「俺も会ってねぇ」
いつも、寝起きの悪い家入を間白が起こす。そして、2人同時に教室を訪れるのが日課のようになっていた。
教室に来る前。家入は体調でも崩したのか、と間白の部屋を訪れたが返事ない。鍵が開いていたため、中に入ったが姿は見えなかった。
「だから、先に教室にいると思ったんだけど」
すると、廊下の奥から担任である夜蛾の姿が見えた。
「夜蛾せんせーい。A見ませんでした?」
「Aは……。硝子、教室に悟と傑もいるか?」
家入は首を縦に振った。
嫌な予感がした。
9時20分。ホームルームが始まった。
「Aだが、
今日の未明に呪術界に対する反逆罪で拘束された」
♦︎♦︎♦︎
間白の術式によって蘇生した天内は天元と同化しなかった。
意識を取り戻した後、天内は今まで見えていた呪霊が見えなくなった。星漿体の素質として重要な「呪力」を失い、星漿体候補から外れてしまったのだ。
これは間白が蘇生の際に脳を弄ったからだ。
呪力と脳の関係は"猿の手"から聞いていたおかげで処置は容易かった。
同化しようがしまいが、羂索の企みに関係ないなら14歳の少女に今生の別れを経験させる必要もない。さらに、夏油のその後を考えたら同化したらしたで「猿どもの平和のために呪力を持った無垢な少女が犠牲になった」と精神が荒みそう。
と間白は判断した。
おまけに、同化しなくて済んだと報告を受けた五条と夏油の間抜け顔を拝めたのも役得だった。
だが、これが裏目に出た。
呪術総監督部を筆頭にする上層部の面々は、前から間白の術式や"猿の手"に目をつけていた。
「天内理子が呪力を失ったのは間白の術式のせい。星漿体に手を加え、天元様の同化失敗を誘発させた。これは呪術界に対する反逆である」
と上層部は間白を反逆罪で拘束した。
実際、間白の犯行は意図的なもの。しかし、それを知っているのは五条と夏油のみ。間白の反逆を決定的に裏付ける物的証拠はない。
第三者がみれば、不当な判決だ。
「上の糞加減を考慮するの忘れてた」
──すまん。俺もだ。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2024年2月20日 18時