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◽️つい最近まで一般人だった夏油にとって、"猿の手"は御伽話の住民だった。だから、ついありきたりだが、誰もが知りたがる質問をしてしまった。

「"猿の手"は何でも願いを叶えられるのか」

 間白は渋い顔をした。

「何でも願いを叶える。まぁ、言い得て妙ってやつだよ。代償を払えなきゃ意味がない」
「じゃあ、死者蘇生も代償を払えば叶えられるのかい?」
「まぁね。自分を含めた全人類の心臓を捧げられるなら」

 叶える気のない代償に夏油は失笑した。

「けど、私の術式ならできるよ。死者蘇生」

 間白は得意げに笑った。

「いや、少し言い過ぎかな。まだ、理論上の段階だし。言い換えるなら、より高度な蘇生手術って方が適切か」

 この言葉に夏油はあまり驚かなかった。
 入学してからと言うものの、間白が五条からの無茶振りを嫌な顔でこなして行くのを見てきた。
 生き返らせろ!なんて無理難題も間白ならやり遂げてしまいそうだと思っていた。

 ──私が言っても、名前)は……。

 今までのは走馬灯。
 夏油は上半身をばつ印に大きく切り裂かれ、息も絶え絶えに薨星宮本殿の床に転がっていた。
 そして、ほどなくして意識を失った。

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作者名:四畳間 | 作成日時:2024年2月20日 18時

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