〜終〜 ページ9
◽️高専の空き教室。
そこで虎杖と間白は報告書の作成に追われていた。
「周辺地図書くとか面倒すぎる」
「時刻とか覚えてねぇよぉ」
弱音を吐きながらも少しずつ少しずつ筆を進めていく。
今回はただの呪詛師による襲撃事件ではなかったらしく、いつも報告書以上に詳細な記述が求められていた。
というのも、坂部が尋問の際に高専所属の呪術師と手を組んでいたと吐いた。
その呪術師経由で虎杖と間白を移動させた猿の手を手に入れたらしい。間白の術式を欺けたのも、その呪術師の術式を使ったとのこと。
"窓"からの報告も全て偽装だった。
呪詛師と呪術師が手を組んだ。この事実に2人の知らないところで大人たちが後処理に奔走している。
「あっ、そういえば来週の日曜、どこか適当に遊びに行かね?伏黒と釘崎も誘って、1年全員で」
「お誘いは嬉しいけど、遠慮しとく。出先で呪詛師に襲われたらたまったもんじゃないからね」
間白は自嘲気味に笑う。
虎杖は間白から一線を引かれていると前々から感じていた。自分だけではなく、他人に対しても。
今回の事件でその態度の答えがわかった気がした。
間白は自分のせいで周りを巻き込むことを恐れている、と。
「痛っ!」
突然、間白は右手で自身の額を叩いた。デコピンだ。
「いきなりなに?」
間白は自身の右手に語りかける。
一見おかしな挙動だが、虎杖は何が起きたかを理解していた。
間白は下唇を突き出し、ムッとした表情となった。
「わかった」
間白は虎杖へと向き直る。
「ごめん、断った矢先になんだけど。やっぱり、一緒に出かけたい」
「よっし!んじゃ、どこ行きたいとかある?」
「流石にそれは報告書終わらせてからね」
間白はそう笑って返した。
彼女の笑顔は窓から差し込む夕日に照らされていた。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時