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「なんか変な音しね？」
「……上から？」
家鳴りのような、木が軋む音が聞こえる。
「っ！間白！」
虎杖は間白の手を引っぱる。その直後、巨大な呪霊が天井を突き破り、階段そのものを押し潰した。
行手を阻まれた2人は、反対側の東側階段の方へ向かう。その最中、辺りの闇が少しずつ濃くなっていく。
「帳？！」
「チッ、5階に行くの中止。このまま屋上に行こう」
しかし、帳によって触発された呪霊たちがその行く手を阻む。後ろからは、先ほど落下してきた呪霊がムカデのように床を這いながら迫ってきている。
「邪魔！！」
「正鵠」が壁を変形させる。針と化したそれらは正確に呪霊の頭部を穿つ。
「間白、ちょっと失礼するな」
「うわっ」
虎杖は間白を抱え、開けた廊下を突っ走る。50ｍ3秒台の俊足はぞろぞろと現れる呪霊の魔の手を振り切っていく。
そして、最上階の鉄扉を虎杖の前蹴りが吹き飛ばす。
「やっぱり」
間白は屋上にいる先客に呆れの眼差しを向けた。
♦︎♦︎♦︎
「間白A？」
「そっ。悠仁と一緒で中々の訳あり。入学はしてたんだけど、上の奴らに囲われてたから皆に会わせるのが遅くなってね」
高専の地下室。
まだ、虎杖悠仁の死亡を偽装していた時期のこと。
虎杖は五条からもう1人1年生がいることを告げられる。
「伏黒と釘崎はもう会ってんの？」
「いや、まだ。タイミングは交流戦が終わったらにしようと思ってるんだ」
五条は無断で虎杖のポップコーンをつまむ。
「女の子なんだけど。まぁ、悠仁とは一番に気が合うんじゃない？」
「ん、どして？」
「悠仁と一緒なんだよ。高専に来た理由が」
♦︎♦︎♦︎
屋上の先客は坂部だった。
彼の側には呪霊が控えるように立っている。樹木のような見た目だが、枝と根に当たる部分が人間の腕の形をしてる。
「これ以上近づくなよ。術式も禁止だ。この子の首がへし折られたくなきゃな」
小学1年生ほどの幼い少年が枝側の腕に拘束されている。気絶しているのか、腕を垂らし、目は閉じたまま反応がない。
「お、お前。お前だろ、女。"猿の手"を持ってるのは」
坂部は間白を指差す。
「そうだよ。まぁ、あなたの目的はわかってる。これでしょ。これで願いを叶えて欲しいんでしょ？」
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作者名：四畳間 | 作成日時：2023年12月7日 17時
