〜終〜 ページ45
◽️──あくまでも可能性だ。それも限りなく低いがな。
「でもなんで、いきなり」
──お前も言っていたが、あの変死体の作成には真人以外の協力者がいる。魂の拒絶反応を抑制する作用を持つ呪具、もしくは術式を持つ者。その候補に俺の左腕がある。それだけのことだ。
「でも、おじさんって、猿の手になるように調整されたわけだよね?左腕は残しておく余地ないと思うんだけど」
猿の手は右か左か、1つの体に片方どちらかの腕1本しか作れない。強欲に両腕とも猿の手にしようとすると呪力が分散して、中途半端なものになるからだ。
──いや、俺は猿の手にされる予定はなかった。
「ん?そうなの?」
間白は、"猿の手"が生前の仲間に殺害され、遺体を呪物へと加工されたのは知っていた。しかし、その背景までは知らなかった。
──仲間たちは、俺の術式を自分たちも使えるようにするために俺を呪物化させたんだ。その上、当時の呪物制作の技術には手探りな部分が多くてな。俺の魂が右腕に残り、今の"猿の手"になったのは本当に偶然なんだ。
「でも、なんでそこで左腕?おじさんの言い分なら頭とか足とかも残ってそうじゃん」
──あぁ、そうか。まだ、お前には言ってなかったか。俺の術式は
「間白、ちょっといい?」
「ひぃっ!!!!」
突然の声に間白の心臓は縮み上がった。
「虎杖君か。びっくりしたぁ」
「ごめんごめん。伏黒が間白のこと探しててさ。もしかして、取り込み中だった?」
「いや、大丈夫、気にしないで。にしても伏黒君が私に用とは珍しい。急用かな?」
「まぁ、そんなとこ」
間白は虎杖の後ろをついていくと、寮の共有スペースに着いた。そこに伏黒と、見慣れない男の姿があった。
「伏黒〜、間白見つけた」
寮の共有スペース。そこに伏黒と、見慣れない男の姿があった。
「あれ?先生、ここにいるの珍しいじゃん」
「俺もそこの嬢ちゃんに用があってな」
男が振り返る。
その顔に間白は見覚えがあった。
今、ここにいるはずのない男。
12年前。五条に殺されたはずの──。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時