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「そこの戸棚にチョコ菓子が入ってるから。好きに取っていっていいぞ」
「ありがとうございます」
間白はコーヒー片手に大袋のクランキーチョコを開けた。
先ほど、2人は運び込まれた2体の変死体の解剖をしていた。
この変死体は八十八橋の任務で現れ、虎杖と釘崎を襲った謎の生体のものだ。
応戦した2人の話によると、この生体は執拗に虎杖を襲い、ぎこちない発音で「指」と繰り返していたらしい。
このことから、生体は宿儺の指を狙っていたことがわかる。
「間白はあのキメラを作ったのは、例のツギハギ呪霊だと思うか?」
家入は変死体の様相を思い返す。
一見、ツギハギ呪霊による改造人間のように見えた。
しかし、実際は人間をベースに鴉、猫、犬、ネズミなどの街中で捕えることができる動物数種類が組み込まれていることが間白の術式で判明した。
「そもそも宿儺の指を狙っていたっぽいですし。魂を弄られた形跡があるので、あの呪霊が関与していることは間違いないと思います。けど、他に協力者がいるはずなんです。いくら魂を弄ることができても、本来くっつかないもの同士をくっつけようとすると爆発するんで」
「それは比喩じゃなく?」
「はい。魂同士が拒絶反応を起こして爆発します」
間白はチョコを口に入れながら過去の失態を思い出した。
鉄とプラスチックを混合させた新しい素材を作ろうとして、爆散させたことを。
♦︎♦︎♦︎
──A。少し厄介なことになったかもしれん。
「ん?何が」
"猿の手"は間白が人気のない廊下に差し掛かったところで話しかけた。
──今日の解剖で1つ、可能性が浮かんでな。お前の介入で敵側に優位な状況が生まれたかもしれない。あ、いや、お前のせいというわけではなく。
「わかってる。バタフライ効果とか、波及効果?みたいなものでしょ。フィクションでもそうだけど。タイムトラベル的なやり方で物事を解決するとなったら、何もかも上手くいくとは思ってないし」
──その心構えでいてくれたのは有難い。なら、単刀直入に言おう。
羂索が俺の左手を持っている可能性がある。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時