幕間 保険 ページ43
「アンタの指示通り『"猿の手"に治してもらった』とは伝えたが、不気味なほどに何も言ってこない。」
幸吉は、自分の体が17歳まで生きながらえてこれたのは高専が惜しみない援助をしてくれたからだと思っている。しかし、それは高専が将来の利益を考えてこそ、取った行動とも思っている。
今、
卒業し、1人の呪術師となれば、上層部が待ってましたと言わんばかりに「恩を返せ」とこき使われるのが目に見えている。しかし、幸吉と間白の行動は上層部が得るはずだった利益を奪うものだ。
自分にも間白にも、何もお咎めのない今の状況に少し薄寒いものを感じる。
「なるほど。君の体の変化を通して、"猿の手"の力量を測っているんだろう。それだけ、上の人たちが"猿の手"に注視してくれているということだ。都合がいい」
「……君の意図がさっぱりわからない。俺はまだしも、君はその分、何かしらの制限をかけられるはずだ」
「いや、それはないよ。"猿の手"の力が強大であると向こうが勝手に思ってくれれば、派閥争いが起きてそれどころじゃなくなるから」
と間白は不敵に笑った。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時