〜7〜 ページ41
「ピーキーピーキーうるさい」
間白はうんざりしながら自身の手の中にあるモノを睨みつける。
薬指の死蝋。これが津美紀の中に巣食っていた魂、その呪物の姿だ。
この呪物の魂は随分とヒステリックな女らしく、キーキー甲高い声で繰り出される罵倒が間白の脳内に響く。何かしら羂索について情報を得られると思ったが、この調子では会話すらままならない。
間白は死蝋をへし折った。
津美紀は一度殺したが、問題なく蘇生している。あと数時間もすれば目が覚めるだろう。
「言い訳どうしよう」
間白の任務は護衛であって、解呪ではない。
担任2人と学長あたりに詰められるのが容易に想像できる。
──まぁ、いいや。どうにでもなれ。
とにかく、報告はしなければならない。
「すみません」
間白は廊下で病室の見張りをしている補助監督に声をかけた。
そこで間白は一瞬、動揺した。
今の時刻は夜の8時。
見張りをしていた補助監督が交代したのだろう。間白をこの病院に送り届けた人とは違う人物が立っていた。
「どうしました?」
かつての後輩が。左足を義足に変えて。
灰原
間白は喉から出そうになったその名前を飲み込んだ。
53人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時