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▫️3人は坂部の家から引き上げ、車を停めていた有料駐車場へと戻った。
「うーん」
間白は回収した呪物を睨みつけるように凝視した。
間白の術式「正鵠」は触れた無生物の魂に触れ、干渉する術。自由自在の変形、性質強化、構造の読み取りを可能にする。
この術式のおかげで呪物の鑑定も朝飯前だ。
「あんだけ蠅頭が集まってたわりには呪力が弱い。術式もない……。ほぼ、ただのミイラだ」
「なんだ。険しい顔してたからヤバい呪物かと思った」
「んな物、そこら辺の民家にあってたまるか」
「では、高専に戻ったら破壊処理をお願いできますか」
「もちろん、任せてくだ……」
言葉を返し切る前に間白は「正鵠」によって与えられた情報に意識が向いてしまった。
「は?」
猿の手はただのミイラから1級呪物へと格上げされた。
巻いていた呪符は音を立てて引き裂かれ、ミイラから赤黒い肉が増殖していた。
咄嗟に投げ捨てようにも、それを予測していたかのように肉は網目状となって間白の腕に絡みついた。
「間白!」
虎杖はその肉を掴み、引きちぎった。だが瞬く間に再生し、さらに増殖する。
間白は虎杖を突き飛ばそうとするが、もう遅い。
2人は獲物を喰らうように広がった肉に飲み込まれていった。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時